『世界を旅するポップアップカード (レディブティックシリーズno.8263)』2022/5/30
月本 せいじ (著)

 平面のカードを開くと立体の構造物が現れる……人気作家・月本せいじさんが生み出す珠玉のポップアップカード。今回は「世界の窓」をテーマに、各国の象徴的な建物や風景をカードで再現しています。
 カードとは言っても、ごく普通のポップアップカード(一枚の折られた台紙を開くと中から何かが飛び出してくる)とは違って、表紙の作品例を見ても分かるように、立体にすることができるものの形が分かるものが、カードになっている作品が多かったと思います。
 とは言っても、普通のポップアップカード(開けるまで中に何が入っているか見えない)にする方法も、ちゃんと書いてありました。一枚の折られた台紙に、作品を糸でつけるという方法が使われています(カードの仕立て方の説明があります)。ここでは「サンタクロース村」という素敵な作品を、カード台紙の中に収める方法が解説されていましたが、同じ方法を使うことで、他の作品もカード台紙に中に収めることも出来ると思います(ただし上級作品だけで、初級作品は台紙への止付けができないようですが)。
 本書には、世界各国の建物など、全部で43作品の型紙と作り方の解説があります(なお型紙はコピーして使うもので、切ってすぐ作ることができる台紙はありません)。
 作品紹介は、構造が簡単なものから始まります。
 初級作品の例になっているのは「厳島神社」。あの海の上に立つ有名な鳥居が、カードの中に立ち上がってきます☆ 「窓(ドーム型)」になっているフレームの中に、鳥居がすっぽり入っているというもので、パーツが少ないので作りやすいのに、かなり美しい作品ができあがる素晴らしいものです。この他にも、マーライオンやエッフェル塔など初級作品がいくつも掲載されていました。
 続いて上級作品。表紙の作品「ノイシュバンシュタイン城」や、富士山、チャイナルームなどなど。初級作品とは段違いに難しくなりますが、原理的には初級作品とは同じなので、なんとか組み立てられると思います(詳しい作り方説明が写真付きで掲載されています)。実は上級作品も、一つの「窓(ドーム枠)」さえ組み立てれば、その中の突起に「ノイシュバンシュタイン城」などをはめ込むという方法で組み立てられているので、意外に失敗なく組み立てられます。「窓(ドーム枠)」は中の空間が広いので、組み立てる時に指を入れやすいし、紙をしならせる可塑性も高いので、とても組み立てやすいのです。しかもこの構造だと、他の景色への組み換えも簡単です☆
 そして、この本のさらに素晴らしいところは、作品の「アレンジ」の方法も教えてくれるところ!
 作品はすべて白い紙で作られていますが、そのうちの一枚とか、枠とかを、他の色の紙にした例も掲載されていて、色を変えるだけで、だいぶ雰囲気が変わるんだなーと思いました。
 また「パーツを追加してみよう」というアレンジもあって、建物に「三日月」を浮かべてみたり、建物の前に「スーツケースをひく女の子」を追加してみたりも出来ます。(もちろん、これらの型紙もあります)。このアレンジは、オリジナルのものを作りやすそうなので、「三日月」の代わりに「飛行機」を作ってみるとか、「女の子」の代わりに「猫」にしているとか、自分の好きなアレンジにしてみても楽しそう。
 さらにもっと難しい方法の「窓に扉をつけてみよう」というアレンジもありました(型紙もあります)。
 作品説明の最後には、「紙の選び方」もあり、本書では135kgの上質紙が使われていることが書いてありました。また「紙の切り方」では、作品用の厚紙に、コピーした型紙を「貼ってはがせるのり」で接着してデザインナイフで切る方法が解説されています(写真付き)。
 ドーム型の中に、世界各国の景色が広がる『世界を旅するポップアップカード』の作り方を教えてくれる本でした。とても素敵な作品ができるし、オリジナル作品への作りかえも簡単にできるので、みなさんも、ぜひトライしてみてください☆
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