『新しい皮膚の教科書 医学的に正しいケアと不調改善』2022/6/13
豊田 雅彦 (著)

 医学的に正しい最新のスキンケアの方法を教えてくれる本です。
 肌を健やかにする三拍子のケアは次の通りだそうです。
1)外側からのケア(スキンケア:洗浄・保湿+外用薬による治療)
2)内側からのケア
2-1)インナーケア:栄養(食事&サプリ)・運動・睡眠
2-2)メンタルケア:ストレス除去
 ……なんか「スキンケア」以外は、ほぼ普通の健康法と同じようなので安心しました(笑)。もっとも肌の健康は身体の健康と密接に関わっているわけですから、考えてみれば当然ですよね。
 皮膚には次の機能があるそうです。
「皮膚はおもに、保護作用、分泌作用、体温調節作用、貯蓄作用、排泄作用、知覚作用の6つの機能があります。(中略)
 また、皮膚の表面にたくさん存在する「常在菌」も身体を守る重要な機能を果たしています。腸内の常在菌を腸内フローラといいますが、私は皮膚の常在菌を「皮膚フローラ」と呼んでいます。(中略)皮膚フローラのバランスを保つには、十分な保湿と清潔を保つことが必要です。」

 この本では、肌が老化する原因や皮膚を健康に保つ方法を、たくさん教えてもらえました。その一例を紹介すると、次のような感じ。
・光老化は、紫外線を浴びることでおこる(皮膚の老化現象の8割は光老化によるもの)
・活性酸素でシミ・シワが増える
・糖質がシワやたるみを招く
・腸で発生する腐敗物質が肌荒れを招く
・ミトコンドリアの活動低下で肌がサビるので、活性化させよう(適度な運動、腹8分目の食事が良い)
・ミトコンドリアを活性化させる食べ物は、コエンザイムQ10が摂れるもの(イワシ・ハマチの刺身、豚・牛肉、卵、オリーブオイル)。ビタミン類が摂れるもの(ニンジン、豚肉、大豆、納豆、バナナ、ブロッコリー)
・オメガ3系脂肪酸(アマニ油、えごま油、チアシード油など)は肌のハリを保つ
・よい汗をかくために1日20分程度の有酸素運動を
・最強のサプリメントは、アミノ酸+ビタミンC+ビタミンA
 ……などなど。ここで紹介したのは、ごくごく一部ですが、「紫外線予防」以外は、ごく普通の「健康のためにやるべきこと」と同じようです。
 また、この本では意外なことも知ることができました。
 その一つは、皮下脂肪は肌のハリとは関係ないということ。次のように書いてありました。
「やせて皮下脂肪が減ると、肌がたるむのではと思うかもしれませんが、皮下脂肪は肌のハリとは関係ありません。皮膚を下から支えているので、皮下脂肪が減ってしぼめば皮膚もしぼみますが、肌のハリ自体に影響があるわけではありません。」
 ……そうだったんだ。安心してダイエットに励めますね(笑)。
 そしてとても驚かされたのが、傷は消毒しないほうが早く、きれいに治るということ!
「ここ数年で、傷への対処法は大きく変わりました。これまではケガをしたら消毒液を塗るのが主流でした。しかしその消毒液が、かえって傷を悪化させることがわかったのです。消毒液は皮膚の常在菌を殺し、自分の身体を治そうとしている努力を帳消しにしてしまいます。そして悪い菌を逆に招き入れるのです。「ケガをしたんだから消毒液で雑菌を殺さなければいけなのでは?」と思われるかもしれませんが、傷口に多少病原菌がいても化膿することはほとんどありません。
 ケガをしたときの一番の対処法は水道水で傷口を洗うことです(泡立てた石けんで洗ってもOK)。」
 ……えー、そうだったんだ! 血が出ているような場所を「泡立てた石けんで洗ってもOK」だなんて驚きです……そうか、傷にとって消毒液は、メリットよりデメリットの方がずっと多かったんですね!
 こんな感じで、とても参考になる情報をたくさん得ることが出来ました。この他にも「毎日の肌ケア」や「肌の不調の対処法(症状別)」なども掲載されています。
 皮膚にちょっとしたトラブルがあって心配な方はもちろん、皮膚を健康に保ちたい方も、ぜひ読んでみてください。
   *    *    *
 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
<Amazon商品リンク>