『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』2018/4/13
津川 友介 (著)

 最新の研究論文をもとに、体に良いことが科学的に証明されている「体に良い食品(食事)」を紹介してくれる本です。
 この本の要点は、ずばり次の通りです。
「数多くの信頼できる研究によって本当に健康に良い(=脳卒中、心筋梗塞、がんなどのリスクを下げる)と現在考えられている食品は、1)魚、2)野菜と果物(フルーツジュース、じゃがいもは含まない)、3)茶色い炭水化物、4)オリーブオイル、5)ナッツ類の5つである。
 逆に、健康に悪いと考えられているのは、1)赤い肉(牛肉や豚肉のこと。鶏肉は含まない。ハムやソーセージなどの加工肉は特に体に悪い)、2)白い炭水化物、3)バターなどの飽和脂肪酸の3つである。」
 ここで茶色い炭水化物というのは、玄米、蕎麦、全粒粉などのことで、茶色い炭水化物は食物繊維が多くて体にいいのですが、白い炭水化物(白米、うどん、パスタ、白いパン、じゃがいも等)は食物繊維が少ないので避けた方がいいそうです。
 そして「地中海食(オリーブオイル、ナッツ類、魚などが中心)」が健康に良く、健康に良いイメージがある「日本食」は炭水化物と塩分が多いのが問題なのだとか……地中海食と同じように日本食も体にいいのかと思っていました……。
 この本は他にも、一般的にいって「健康に悪そう」ではない食品の中に、健康に悪いものがあることを教えてくれました。
 たとえばβカロテンをサプリなどで摂取するのは良くないそうです。(緑黄色野菜で摂取するのは健康にいいのですが、抽出された成分だけのものはダメなんですね……)。
 またフルーツジュースも糖尿病のリスクを上げるので良くないそうです(ただし野菜ジュースのリスクは不明)。
 さらに白米も摂取量が多いと糖尿病リスクがあがるとか、赤い肉(牛肉や豚肉、ハムやソーセージなどの加工肉など)は大腸がんのリスクを上げるだけでなく脳卒中や死亡率の上昇にもつながるとか、卵は一週間に6個までとか書いてあります。このうち卵については、糖尿病や心不全ののリスクが高いので食べすぎは良くないそうです。
 ……白米とか卵は、この本の「推奨上限値」をちょっと超えるぐらい食べていたので、うーん……どうしようかなと悩んでしまいました。でも卵はたいていの人が一週間に6個以上食べているんじゃないのかなー……問題ないのでは? という気がします。白米も。
 この本には「皆さんの中にも、テレビ番組などで『トマトにはリコピンがたくさん含まれるので健康にいい』と見聞きしたことのある人も多いだろう。ではリコピンは本当に体に良いのだろうか。実は、『食品』としてのトマトはそれなりに体に良いものの、実はその『成分』であるリコピンが体に良いというエビデンスはない」ということが書いてあり、テレビや本で推奨されている食品には、「良い」ことの科学的根拠が薄いものがあるので注意が必要だと書いてありました。
 でも……例えば「卵」に関しては、この本でも書いてありますが、かつては「コレステロールが高い人は食べない方がいい」と病院でも指導していたのに、その後の実験で、コレステロール値との相関が薄かったことが明らかになるなど、「食の健康に関わる常識」が変わってしまうことがあったので、そういう意味では、ここに書いてあることも、本当に守らなければいけない「究極の食事ルール」なのかなーとちょっと疑ってしまいます。
 とは言っても「緑黄色野菜を食べるといい」とか「加工肉は身体に悪い」とか「塩分は控えめにすべき」などに関しては、これまでもそう指導されてきたので、今後もできるだけ遵守していこうと思っています(ただし腎臓病の人に関しては、カリウム、タンパク質、塩分が大敵なので野菜の採り過ぎは控えた方がいいそうですが)。そしてフルーツジュースも一応、今後は少なくしていこうかな……。
 たぶん大事なのは、食事の栄養のバランスに気をつけることと、好きだからといって偏ったものばかりを食べずに、いろんなもの(多種類)を摂取するように心がけることではないかと思います。そうすれば、毒素が蓄積するのを避けられると思うので……。
 ちょっと横道にそれてしまいましたが(申し訳ありません)、『科学的に証明された究極の食事』を教えてくれる本でした。興味がある方は、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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