『大水害 「安全対策」完全ガイドブック』2019/12/17
別冊宝島編集部 (編集)

 台風・大雨による「水害」に絞って、国土地理院が公開する地域の危険度を示した「地理院地図」や各地方自治体が公開する「ハザードマップ」をもとに、地域ごとに危険度ランキングを掲載。水害危険地域や河川決壊の危険性など、多岐にわたって水害の危険度を分析している本で、水害にどう備えるかも教えてくれます。
 この本の凄いところは、水害の状況を多数の写真で実際に見ることができること! 表紙写真のような災害地域の空撮などをはじめ、全国各地の水害写真がどんどん出てくるので、こんな大水害に見舞われたら、本当に大変だ……ということを否応なく実感させられます。
 そしてもちろん、自衛隊、防災アドバイザーの方が、災害時に家族の命と財産を守る「役立つ情報と知恵」を教えてもくれます。
 例えば「防災コンサルタントが教える台風水害「危機管理」5か条」は次のような感じ(本書内ではもっと詳しく説明されています)
1)「車で逃げる」のは危ない(高低差の多い地域では、徒歩の方が安全)
2)古い家屋は「風」に注意(窓ガラスに飛散防止フィルムなどを貼っておく)
3)面倒でも「早めの避難」
4)タワーマンションの死角(長期の停電などの場合は生活が不可能なほど困難になる。近所や水の出る低層階から水を分けてもらうなどの体制を整えておく)
5)現金と電源を確保せよ(千円札、携帯用バッテリー)
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 この他にも、「自衛隊式「災害時」の便利技10」や、「警視庁災害対策課 防災「ベストツイート」ベスト10」など、かなり細かい部分まで踏み込んだ便利技の紹介もあります。
 そして個人的にとても参考になったのが、「食品備蓄は市販品で無理なくムダなく」という記事。次のような食品を備蓄しておくべきだそうです。
・1日分の食料は栄養素ごとに用意
・食欲がなくてもさっと口にできるものも
・賞味期限が2年程度のものを1週間分
・あえて防災食を買う必要はない
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 ここで写真を使って解説されていた「ローリングストック法」も、すごく役に立ちそう。一日分の食料が入るケースを100均で7個購入し、それぞれに一日分の食料を入れるのです。そして3カ月ごとに一日分を食べ、その空のケースに新しい食品を入れて最後尾に移す……この方法を利用すると、古い品と新しい品が混ざらず、賞味期限の管理も楽なのだそうです。なるほど。
 さらに「本当に役に立つ防災グッズ16選」では、具体的な商品写真とともに。防災グッズが紹介されていました。そのうち、「釘やガラスを踏んでも安心な靴の中敷き」や、「保護用グローブ(高機能軍手)」は、準備しておくと地震のときも役に立ちそう! 靴の中敷きは0.5ミリ厚のステンレス鋼板入りだそうですが、ちゃんと靴のサイズごとに売られているようです。この他、「レジ袋」や「布製ガムテープ」「ラップ」は、「非常持ち出し袋に入れておくべき物リスト」に入っていないこともあるので、追加しておこうと思いました。また保険証券は、コピーをとって非常持ち出し袋に入れておくと安心なようです。
 第5章には、「全国最新浸水危険度マップ」も掲載されています。残念ながら関東や地方の大都市圏には、水害危険地域がすごく多いようです……(涙)。(ただし、このマップには間違いもあるようなので、これは軽く眺める程度にしておいて、自分の住む地域のハザードマップを確認した方がいいと思います。)
 最近は地球温暖化の影響なのか、台風や豪雨による水害が増えているような気がします。水害への備えの観点から、防災への備えを見直してみてはいかがでしょうか。ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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