『図解 住まいの設備設計: 暮らしやすさから考える家づくりのポイント』2021/2/6
堀野 和人 (著), 加藤 圭介 (著), 日本建築協会 (その他)

 住宅を設計する上で知っておきたい住宅設備の基本知識とともに、玄関、洗面室、寝室などの住まいの10の空間別に、そこで行われる生活行為に適した住宅設備設計の考え方を2色刷イラストで分かりやすく紹介してくれる本で、主な目次は次の通りです。
第1部 知っておきたい住宅設備の基本
1章 給排水設備
2章 電気設備
3章 換気・冷暖房設備
4章 防災・防犯設備
5章 省エネ・創エネ設備
6章 ガス・給湯設備
第2部 住宅設備設計のポイント
1章 玄関・ホールの設備
2章 浴室の設備
3章 洗面室の設備
4章 トイレの設備
5章 キッチンの設備
6章 リビング・ダイニングの設備
7章 寝室の設備
8章 和室の設備
9章 バルコニー・屋根の設備
10章 エクステリアの設備
   *
 安全で快適な住宅をつくるには、暮らしやすさをふまえた設備計画が欠かせませんが、いざ自分の家を作るとなると、いったいどんな設備をつけたらいいんだろう? と迷ってしまうのではないでしょうか。住宅設備はそれなりに高価なだけでなく、設置した後で、使いにくいことが判明しても、簡単には交換できないことが多いですし……。
 この本は、「暮らしやすさ」から考えた家づくりのポイントを、イラストなどを使って分かりやすく教えてくれるので、とても参考になると思います。
 例えば、「1章 玄関・ホールの設備」では、「1 接客に適した照明とコンセントの配置」の中に次の記述がありました。
「買い物で両手が使えない場合や夜間の帰宅時に、人感センサー付きの照明器具(スイッチ)があればスイッチを操作する手間が省けて便利です。玄関ホールのみならず、リビング、階段へと続く動線上にも人を感知して点灯、消灯する足元灯を設置しておくとより便利で安心です。」
 ……玄関ホールの人感センサー付き照明器具、ウチにもありますが本当に便利です!
 また花粉症やコロナなどの感染症対策として、「家に汚れを持ち込まないための給水設備」を玄関から近い場所に設置する方法も書いてありました。
「手洗いの設置条件としては玄関から近い、着替えがしやすい、水はね等の汚れが気にならないことがあげられます。」
 ということで、屋外、玄関ホール、玄関土間に設置するという3つのケースが、動線つきの間取りで紹介されていました。
「どれも一長一短ありますが、玄関ホールに必要な設備として「手洗い」を前提に計画してみるのはいかがでしょうか。」
 ……なるほど。清潔好きの方には、とても便利なようですね。
 さらに「5章 キッチンの設備」では、ダストボックスや冷蔵庫のコンセントの位置などに関する説明もありました。最近はキッチンのすごく高い位置にコンセントがある家が多いようですが、それは次の理由のようです。
「冷蔵庫用のコンセントは、低くて見えない位置にするとコンセントに埃がたまって火災につながる恐れがありますので、冷蔵庫より少し高めのFL+1.9m程度に設置しましょう。」
 ……そういうことだったんですか。冷蔵庫からは水が垂れることもあるし、コンセントは高い位置の方が安全ですね!
 また「6章 リビング・ダイニングの設備」には、次のような記述も。
「リビングに必要なコンセントの数は、固定して使う家電用の他、持ち運びして使う家電用として、2畳に1か所の割合で2口コンセントを部屋の対角などにバランスを考えて配置しましょう。」
 さらに「7章 寝室の設備」にも、次の記述が。
「夜間、トイレなどへ行く際、扉付近に足元灯があると安心です。取り外して保安灯として使えるものや、停電時に自動点灯するものもあります。」
 ……これらの設備は、本当に便利だし、必要なものだと思います。
 ここでは、センサーライトやコンセントのような細かいものばかり紹介してしまいましたが、もちろんキッチンや化粧台、トイレ、防犯や換気、手すりなど、さまざまな住宅設備の説明があります。「通風(ブラインド)シャッター」とか「室内物干し設置(必要な時だけ天井に金物を設置して、物干し竿を通して干すタイプ、壁間にワイヤーを通して干すタイプなどもある。)」とか、便利な住まいの設備もいろいろ紹介されていました。
 暮らしやすくて安全、快適な家をつくるためのポイントを総合的、具体的に教えてくれる本で、とても参考になります。これから家を建てる、購入する計画のある方は、ぜひ読んでみてください。お勧めです☆
   *    *    *
 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
<Amazon商品リンク>