『マンガでわかる 必ず伝わる! ロジカル会話術』2018/6/20
深山 雪男 (著), 船川 淳志 (監修)

 ファミレスチェーン「デリシャス」の入社5年目の営業部員・三上さつきが、ダメダメ店舗の立て直しに奮闘し、次から次へと起こるトラブルを、父親直伝の「ロジカル会話術」で乗り越えていく……さつきの成長とともに、ロジカルに考え、伝える力が身につく「ロジカル会話術」漫画です。6章構成で、各章、ストーリーのある漫画と文章による解説で、「ロジカル会話術」を実践的に学べます。
 ロジカル・シンキングはよく聞くけど、ロジカル会話術って? と思ってしまいましたが、「シンキング」ではなく、「会話術」と題しているのには理由があるそうです。
「他者とのコミュニケーション抜きには、仕事を前に進めることはできません。つまり、論理的思考を実践するには、それを普段の会話に活かすことがカギなのです。」
 ……確かに。
 さて、新米営業部員・三上さつきは、ある日突然、「呪われたダメダメ店舗」の立て直しを命じられます。しかも期限はたったの1年。グシャグシャの店内、ヤル気を失った店長に、超マイペースなパートたち……、さつきの前に立ちはだかる問題は山積みです(涙)。
 途方にくれるさつきに、海外にいる父親が自分の「ロジカル会話術」ノートを使えといって励ましてくれます。
「多面的に考える」、「演繹法と帰納法」、「会話相手と同じ言葉で話す(専門用語などの知識をつける)」などの方法で、さつきは、なんとか店長のやる気を取り戻すことに成功し、近くで大きな工事が始まったこともあって、閑散としていた店内は一変。大変な賑わいになります。
 ……が、今度はパート従業員などの遅刻や早退に悩まされるように……一難去ってまた一難。二人ともベテランなだけに、説得が難しいようです(涙)。
 さつきは最近覚えたPREP(結論・理由・事例・結論)話法で、二人に話そうとしますが、「最近国道が混んでいる」とか「保育園が遠い」とか、一気にまくしたてられて……退散。……うーん、ありがち(涙)。
 そこでノートを見直すと、「相手を動かす納得の3ステップ」には、「理解されたきゃまず「聞け」」、「「分ける」は「分かる」(基本はMECE)」、「納得=論理+感情」の3項目が。
 さつきは、この教えとロジカル・シンキングの基本のMECE(物事をモレなくダブリなく整理する)を学んで、再び二人の説得に。今度は、相手の問題も理解した上で、より良い状態へもっていけるように話合うのです。……この流れには、すごく感心させられました。
 また、常連客からの辛口の指摘もうまく取り込んで、どんどんお店は良くなっていきます。
 ところが……今度は社内の反対勢力からの圧力が(高級化志向勢力との対立)。
 さらに追い打ちをかけるように、近くに大型ショッピングセンターが開店したことで、商店街の人の流れが変わってしまい、ファミレスのある商店街全体がピンチに! 商店街の人たちから、ファミレスを見事に立て直したさつきに相談を持ち込まれ、頼りにされるのですが……商店街の人たちの思惑もバラバラで……これも、ありがち(涙)。
 さつきは担当のファミレスを、そして商店街を元気にすることが出来るのか?
 ……ここからの怒涛の展開は、「そうきたか!」という驚きもあって、わくわくが止まりませんでした。「ロジカル・シンキング」や「ロジカル会話術」を学ぶための自己啓発書(漫画)なのに……とても面白くて、元気で、爽やかで、最高!
 なかでも、社内で黒幕的な動きをみせていた隠れ敵の遠藤部長(「こんなものは机上の空論に過ぎん」、「失敗したら誰が責任を取るのかね」なーんて言ってくるイヤミな奴)への対処法には、すっかり驚かされました。こういう対応、なかなか出来ないと思います。勉強になりました……。
 ロジカル・シンキングを活用しているつもりなのに、いまいちうまくいかない……と悩んでいる方は、この「ロジカル会話術」が、とても参考になると思います。
 論理だけでなく、相手の感情まで理解して話し合う「ロジカル会話術」。みんながこのスキルを習得すれば、もめごとがぐんと減りそうな気がします。
 どんな場面でも、良い効果を発揮してくれる素晴らしいスキル! みなさんも、ぜひ読んでみてください。お勧めです☆
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