『文房具の解剖図鑑』2018/7/5
ヨシムラ マリ (著), トヨオカ アキヒコ (著)
ふだん何気なく使っている文房具の、仕組みや形、生い立ち、使い方をイラストで図解してくれる本で、紹介される文房具は次の通りです。
chapter1 書く。描く。消す。
鉛筆、ボールペン、シャープペンシル、万年筆、マーカー/サインペン、筆ペン、消しゴム、修正液
chapter2 残す。写す。
ノート、ルーズリーフ/バインダー、レポート用紙、スケッチブック、メモ帳
chapter3 切る。貼る。留める。
カッターナイフ、はさみ、のり、テープ、のり付きメモ/ふせん、ステープラー、クリップ
chapter4 保存する。分類する。
穴を開けるファイル、穴を開けないファイル、アルバム
ほぼ「定番の文房具」ばかりで、知らなかった文房具はなかったのですが、文房具の総復習ができたので、読んで良かったと思います。
「へえ」と感じたことの一部を紹介すると、次のような感じ。
「なぜ、色鉛筆は丸形がほとんどなのでしょう。黒鉛筆の芯は粘土を混ぜて焼き固めますが、色鉛筆は焼き固めないため、柔らかく強度的に不安があります。そのため芯を太くして、六角形よりも力のかかり方が一定で折れにくい丸形にしています。ただ、現在では芯の強度を高める技術が進み、丸以外の形の色鉛筆も目にするようになりました。」
「2007年(平成19年)、パイロットコーポレーション(以下、パイロット)が発明した画期的な消せるボールペンが「フリクションボール」です。ペンのお尻に付いたラバーでこすると摩擦熱(60~65℃)で筆跡を消すことが出来ます。これは、高温になると色が消える「メタモカラー」の機能を進化させ、-20℃~65℃に対応した「フリクションインキ」を搭載したもの。消えた筆跡は、零下10~20℃に晒すと復元されます。」
この「書いて消せるボールペン(フリクションボール)」が発売された時には、驚いたと同時に悪用が心配になりましたが、実は書いたものが完全に消えてしまうわけではないんですね! ここに何かが書かれていたはずなのに……と消えてしまったことに困った時は、その紙を冷凍庫に入れてみると、何かが出てくるかも(家庭用冷蔵庫は-18℃以下に設定されているそうです)。
この本に掲載されている文房具は、普段使っている文房具ばかりだったので、文房具好きの方にとっては、常識的な情報ばかりで物足りないかもしれませんが、あまり文房具店にいかない方にとっては、「そんな便利な商品があったんだ」という意味でも参考になるのではないでしょうか。大人向けの本のようですが、これを本当に楽しめるのは、もしかしたら小学生高学年ぐらいのお子さんかもしれません。文房具の「仕組み」が知りたい方にとっても、参考になると思います。ぜひ一度、眺めてみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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