『災害に強い住宅選び』2020/5/9
長嶋 修 (著), さくら事務所 (著)

 台風や風水害などの気候変動リスクが高まっている現代、マイホーム購入や居住する街や土地を選ぶ際、最低限知っておくべきこと、自助・共助の予防策として手がけておくべき要点を解説してくれる本です。
「災害に強い住宅選び」というと、地震でも倒れない住宅というイメージを抱いていましたが、最近は毎年のように巨大台風や大雨に襲われるようになり、風水害など気候変動リスクへの対応の必要性も強く感じるようになりました。
 この本は、水害や地震などの災害に強い住宅(マンション・一戸建て)はどんなものかを具体的に教えてくれます。
「第2章 土地の良し悪しをどう見分けるか」では、土地の安全性の見極め方を教えてくれます。実は、土地を買う時にハザードマップを調べる人は意外に少ないそうです。でも新しく売り出される住宅地でも、浸水危険区域に入っていることがあるのだとか。だから、新しいマイホームを購入する場合、その土地の危険性を、購入者自身がハザードマップで確かめておいた方がいいそうです。次のような方法(情報源)で調べることができます。
・国土交通省のハザードマップポータルサイトの「重ねるハザードマップ」「わがまちハザードマップ」
・「河川整備計画」
・「国土地理院地図」(地盤や土地の歴史)
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 また「半地下」や「地下駐車場」は浸水の危険が高いそうです。「半地下」は防音性が高そうなので、楽器の練習場にいいかもと思っていたのですが、やっぱり浸水はイヤだ。「半地下」はやめておこうっと……。
 そして、マンションや一戸建ての減災のための事前対策も教えてくれます。例えば一戸建ての場合は、次のような感じ(もちろん詳しい説明があります)
1)修繕積立金を準備する
2)修繕のタイミングの目安を認識しておく
3)風水害を意識した設計で家を建てる
4)排水口や雨樋、雨水枡、浸透枡、側溝を掃除しておく
5)防災備蓄や土嚢、止水版などを準備する
6)後付けシャッターの設置、飛散防止フィルムの活用
7)火災保険など保険の内容を確認する
8)被災した際の救済措置を知っておこう
9)もし床下浸水、床上浸水してしまったら(水に漬かった床や壁は問答無料で交換、など)
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 このうち「3)風水害を意識した設計で家を建てる」は具体的には、基礎を高くする(40センチ以上)、水回り設備を2階にする、ハザードマップの浸水深を参考にコンセントを高い位置につける、エアコン室外機にも土台を設置、1階と2階のブレーカーを分ける、等々がありました。
 マンションや一戸建ての「災害に強い住宅選び」を教えてくれる本でした。最近は毎年のように台風や大雨で洪水や土砂崩れなどの災害が発生しています。これから新居を選ぼうと考えている方は、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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