『生物の進化大事典』2020/6/9
養老 孟司 (監修), Steve Parker (原著), スティーヴ パーカー (著), & 2 その他

 最新の知見に基づいて、最古の生命から現生人類ホモ・サピエンスまで生物の進化史を、オールカラーで俯瞰できる、まさに『生物の進化大事典』です☆
 大型の本で、上質紙に高精細カラー写真が満載なので、かなり重いし高価な本ですが、この本一冊だけで何冊分もの内容がつまっているような……生物や進化が好きな方には、お宝本の一冊になること間違いなしの充実した本です。(ただし大図鑑なので、持って読んでいると腕が疲れます。漢字も多いので、お子さん向きではないですね……。でも、お子さんでも、写真を楽しむことは十分出来ます。)
 図鑑なので、「ウミユリ」って、どんな形してたっけ?という疑問がわいた時にも、すぐに調べられます。貴重な化石の写真、古代の生物の想像図などが、きちんと系統だって詳しく解説されています。冒頭には全体を俯瞰できる「地質年代表」がありますし、巻末には「用語解説」「索引」もついています。最古の生物の化石や、恐竜の化石、想像図など、ぱらぱら眺めているだけでも、わくわくしてしまいます。
 そして解説も充実しています。例えば、次のような感じです。
「先カンブリア時代終盤の5億4100万年前ごろから古生代カンブリア紀にかけて、進化が加速したように思える。殻のような堅い部位をもつ生物が出現し、化石が残りやすくなったせいもあろう。カナダのバージェス頁岩層や中国の澄江で発掘された大量の化石からは、海洋の生物多様性がその頃すでに現代と同程度まで達していたことがわかる。この事実は、数えるほどしかいなかった生命形態から徐々に枝分かれして現在のように多様な種に至ったという、旧来からある「進化の系統樹」という考えとは矛盾する。ドイツの生物学者エルンスト・ヘッケルが進化系統関係を樹木にたとえて啓蒙に努めて以来、系統樹という考え方が形を変えては継続的に繰り返されてきたが、事実は違っていたのだ。」
「分子遺伝学は、「分子時計」(進化時計)の発展にも特に寄与してきた。1967年、アメリカの生化学者であるアラン・ウィルソンとヴィンセント・サリッチが、ヒトとその他の霊長類の分岐年代を、タンパク質やDNAの分子構造から推定できることを示したのだ。DNAの遺伝情報を担う4種類の塩基は一定の速度で置換され、漸進的に蓄積されるため、1つの種が2つの種に分かれてからの時間に比例して置換された塩基の数が多くなる。したがって、2つの種におけるDNAの塩基配列の違いを調べることで、分岐年代がわかるのだ。」
「ほとんどの化石が、海洋、湖沼、河川、湿地といった、水のある環境で形成される。死後にそれ以上腐敗や分解が進まず、なおかつ長い化石化が始まるには、砂や泥などの粒子、つまり堆積物に覆われる必要があるからだ。そのため、三葉虫やアンモナイトといった殻を持つ水棲動物が、化石の記録にとても目立つ。堆積物が積み重なっていくにつれて圧力と温度が上がり、化石とそのまわり(基質)の粒子や鉱物は次第に固まって膠結し、硬い岩石になる。したがって、化石は砂岩、石灰岩、泥岩、頁岩などの堆積岩に埋まっている。」
 ……この本が一冊あると、眺めて楽しいだけじゃなく、「あれ、何だっけ? どんな形してたっけ?」と疑問に思った時に、すぐに調べることが出来ます。
 生物の進化をじっくり外観でき、学べる『生物の進化大事典』。ぜひ眺めてみてください。お勧めです☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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