『高雅な折り紙』2020/3/11
山口 真 (著)

 やさしい作品から超複雑系の作品まで幅広く収録されている折り紙の本で、『端正な折り紙』、『秀麗な折り紙』に続く第3弾です。
 やさしい作品から……という謳い文句ですが、普通の折り紙の本より難易度が高めに感じました。例えば、表紙の作品だと、下左端の小さな黄色いフェネックが「難易度1」。これが、この本の中では難易度1の「超やさしい」作品なのです。確かにそれほど難しい作品ではありませんが、これでも普通の折り鶴よりも少し難易度が上のような……。その隣の豆柴はすごく愛らしいのですが、難易度は4です。さらに表紙の上の方にいるディバインドラゴンに至っては、とても折れそうな気がしません……これが折り紙だなんて、凄すぎる……(ディバインドラゴンはもちろん難易度5、作者にとっても最高難易度レベルだそうです)。
 それでもこの本はユニークな作品が多くて、眺めるだけでもとても楽しいです。例えば、表紙下の真ん中の紺色のシャンプーボトルは、本物と同じようにプッシュできます(笑)。また、その右の赤いメンダコや紫のハシビロコウもとてもユニークな表情をしていて、とっても面白素敵な作品です☆
 表紙にはいませんが、カクカクした長ーい緑のいもむしくんという作品は、長い紙を蛇腹になるように折っていく、単純だけど珍しい感じの折り紙作品で、うねうね動かすことができるとても楽しいもの。
 そしてすごく感心させられたのが、鏡に載せることで初めて全体像が現れる「髑髏」という作品。なんと「最後まで折っただけでは何ができたかすらわからない作品ですが、それを鏡にのせたとき、映し出された「反転された内側」と実際の作品が合わさることで真の姿が現れます。」という冒険物語の魔法アイテムみたいな超不思議な作品なのです! なぜ、そんな作品を作ろうと思ったのか、とくかくその発想の凄さに脱帽させられました。これは、折り紙ファンには必見の作品だと思います。

 この本には、「かわいい」、「ユニーク」、「かっこいい」、「アラカルト」の4カテゴリー34作品の折り方(オールカラーの折り図付き)が掲載されています。
 第1章は、「ねずみ」や「ゴマフアザラシ」など、比較的難易度がやさしくかわいい作品。第2章は、「シマエナガ」や「ハシビロコウ」など話題になった生き物や、「いもむしくん」「おしゃべりガイコツ」など、指で動かして遊べるユニークな作品。第3章は、本書で一番難易度が高い「ディバインドラゴン」などのかっこいい作品。その他、「シャンプーボトル」や「非常口」などのユニークなアラカルト作品も掲載されているのです。
 もちろん冒頭には、「折り図記号と折り技法」の説明があり、巻末には簡単な用語集もついています。
 他ではあまり見ないようなユニークな作品が満載の折り紙の本でした。難易度は少し高めだと思いますが、折り紙ファンの方は、ぜひトライしてみてください☆
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