『日本の地形・地質―見てみたい大地の風景116 (列島自然めぐり) 』2012/3/3
斎藤 眞 (著), 下司 信夫 (著), 渡辺 真人 (著), 北中 康文 (写真)

 奇岩からジオパークまで、日本全国116カ所の代表的地形・地質を、自然写真家と第一線の研究者が具体的に紹介してくれる本。自然の風景のでき方をイメージしながら基本的な知識が身につく、地形・地質観察ガイドです☆
 日本全国各都道府県から厳選された116カ所が、美しい写真で紹介されていて、眺めるだけでも「わー、凄い!」と楽しめます。しかも、旅行などにも持っていきやすい小型サイズの本(110 x 1.7 x 182 cm)なのに、内容がかなり充実しています。
 なんといっても役に立ちそうなのが、その場の代表的地質・岩石がちゃんと書いてあること!
「本書に取り上げられているところであれば、どの場所に行ったのかによって、どんな地層か、どんな岩石か、いつできたのか知ることができます。岩石の種類を扱った岩石図鑑は見かけますが、その場所にあった地層や岩石がなんだったかを答えてくれる図鑑は今までほとんどなく、専門家に聞くしかありませんでした。ぜひ本書を地形や地質の図鑑として活用していただきたいのです。」
 例えば「阿蘇カルデラ」のページには、左端に「火山」「玄武岩・安山岩・溶結凝灰岩」「第四紀~現生」「日本ジオパーク・地質百選」などという簡単なデータがついているのです。

 また写真とともに、地形の成り立ちや特徴なども書いてあり、例えば群馬県の「草津白根山の湯釜」には、「湯釜の周辺は、火山ガスの噴出や熱水変質帯があるため植生が発達できず、荒涼とした荒れ地となっている。」とか、「浅間山」には、「浅間山山頂部は、平安時代や江戸時代の大噴火によってその形がつくられた。活発な火山活動が続くため、山頂周辺には植物が侵入できず、裸地となっている。」などと書いてあり、確かに、山に行ったときに、なぜか植物が少ない部分があるのが、ずっと不思議だったのですが、標高による森林限界以外にも、こういう理由で荒れ地になっている場所があったんですね……。
 また近畿地方の「熊野鬼ヶ城と獅子岩」や「玄武洞」は、行ったことがありませんでしたが、こんな不思議で見事な風景が広がっていたんですね……いつか見てみたいなーと思わされました。
 それ以外にも、見ごたえがありそうな風景がいっぱい。かつて行ったことのある場所についても、知らなかった地形の成り立ちや特徴をすることが出来ました。
 日本全国の美しい自然景観、世界遺産、ジオパークなど116カ所を、豊富な写真と詳しい解説で紹介してくれる本です。簡単な地図やアクセス方法も記載されているので、図鑑兼旅行ガイドブックとしても大活躍してくれそうです。巻末には、「地質年表:日本の歴史」、「覚えておきたい岩石の種類」、「用語解説」もついていて、これもとても便利で勉強にもなります。
 地質好きの方はもちろんのこと、旅行好きの方も、ぜひ一度手に取って眺めてみてください。お勧めです☆
(この本は2020年05月現在、価格が高騰しているようですが、私が購入した時の価格は2200円+税でした。ご参考までに)
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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