『考えないヒント―アイデアはこうして生まれる』2006/11/1
小山 薫堂 (著)

 アイデアの生まれ方(アイデア体質のつくり方)を教えてくれる本です。
『考えないヒント』というタイトルでしたが、「いつもいろいろことを考えていると、神様がアイデアをくれるよ」という話だったように感じたので……むしろ「考え続けるヒント」のようにも思えました(笑)。
「第1章 考えるけれど、考えない」には、「勝手にテコ入れ」トレーニングという面白い方法が紹介されていました。それは、「日々、目に入るあらゆるものに、勝手にテコ入れする」ことで、「こうすれば、もっと良くなるのに」と改善策を練ることだそうです。……実を言うと、これ、私も結構やっています。めったに実行は伴わないのですが(汗)、レストランに行ったときとか、旅行に行ったときとかに、ちょっと不満に感じることがあると、「どうすれば良くなるか」をつい考えてしまうのです。まあ、良い改善策を思いついても、そのレストランなどにアドバイスはしないので、まったく無駄な試みなのですが、少なくとも、「自分のアイデアのストックを増やす」+「思考トレーニングが出来る」し、こうすることで「不満な気分が多少は消化」されます(笑)。
 そしてさらに重要なのが、「「偶然力」をつける」ことだそうです。これ、実はただの「偶然」ではないのです。
「多分、何の意味もない偶然というものは、実はありえない。すべては必然に向かった偶然なんだと思うんです。偶然が偶然を呼び、つながっていく。この「偶然の連鎖」を起こす力が、「偶然力」なんです。」
 なるほど。でも……こういう「偶然力」って、自分の努力でつけられるものなの? と疑問に感じてしまいましたが、「偶然力」をつかむためには、「人やきっかけとの出会いをつくる」努力をすることが大事なようでした。小山さんは次のように言っています。
「僕はアイデアは「人」そのものだとも思っているので、広く浅く、いろいろなところに首を突っ込んで、多種多様な人に会うことも大事だと思います。」
 また「それまでと違う視点から見る」のも良いようで、「第三者の目線で見る(意見を聞く)」とアイデアをひらめくことがあるようです。これは第三者に頼らず、自分一人でもある程度は出来るようで、それは「旅行者の気分で日常を見直す」ことだそうです。
 さらに「先入観をいったん捨てて、認識をリセットする」ことも役に立ち、たとえば、「ヤカンを宇宙人にどう説明するかを考える」と、アイデアが生まれるのだとか。
 こんなふうに、アイデアを生むための、さまざまなヒントを教えてくれる本でした。「日光金谷ホテル」へのアドバイスなど、小山さんが実際に「アイデアを生み、形にしていった経緯」を具体的に読むことが出来るので、それも参考になると思います。
「アイデアを出せ」と言われたときにだけ急にアイデアを考えるのではなく、いつも「考え」、「探す(拾う)」ことを心掛けていると、自然にアイデアの神様が微笑みかけてくれるようになるのでしょう。なかなかアイデアを思いつかなくて苦労している方は、読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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