『地図とデータで見る気象の世界ハンドブック』2019/9/14
フランソワ=マリー・ブレオン (著), ジル・リュノー (著), 鳥取 絹子 (翻訳)

 120点以上の地図とグラフ(データ)と解説で、気候の複雑さが理解でき、気候温暖化による問題と対処法を考えることが出来る本です。
 前半は、気象に関する基礎知識の解説から始まります。
「気候とは、数百万年以来、太陽の日射や地表が発する熱放射、大気中の化学物質と大気の循環、海流、風、植物の光合成などが、地球の自転や大陸の移動、火山の爆発、隕石の落下などで乱される、力学的均衡の働きである。」
「水と炭素の循環は、すべてがオーケストラのように、非常に異なる時間的スパンで、4つの自然の貯蔵庫のあいだでの組織的な交換によって行われている。4つとは、生物圏(植物、動物など生物全体)、岩石圏(陸地および海域の表層土と底土)、水圏(海、大洋、湖、川)、大気圏である。大気圏の大量の空気と、大洋の大量の水の循環は、エネルギーを過剰な地域から不足する地域へと、とくに熱帯地方から極地方へと運搬する役をになっている。」
 気象を変動させる大きな要因となるものや、観測方法、歴史的経緯などを知ることが出来ました。
 そして次に、この本の中心テーマともいうべき、「地球温暖化」に関する問題が始まります。
「IPCC(気象変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書では、大洋や大気が受け取って保存したエネルギーの増加において、自然の要因がほとんどかかわっていないことが明らかになっている。現在の地球のエネルギー均衡の変化は、人的活動の結果であり、おもに、二酸化炭素を排出する化石エネルギーが原因なのである。」
 実は、気象温暖化には、酸素や窒素はほとんど影響を与えていないそうです。
「大気の99パーセント(酸素と窒素で構成)はじつは温実効果とは関係がなく、おもにこの効果を生み出すのは、自然または人的に発生するごく少量の気体なのである。」
「自然由来の温室効果ガスでおもなものは、水蒸気と二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、オゾンなどである。(中略)このうち水蒸気で重要な特徴は、濃度が気温に左右されることで、放出される水蒸気量とはほぼ関係がないということだ。追加で増えた水蒸気はすべて、液化または降雨によって排除されるからだ(=温室効果に関係がない)。」
 地球温暖化に大きな影響を与えるのは、やはり二酸化炭素やメタンなどのようです。
「二酸化炭素のおもな放出元は、多い順に、発電、製造業、森林破壊、集約農業(化学肥料、殺虫剤、機械の使用、牧畜)、輸送、そして家庭での消費(暖房や料理など)である。」
 私たちは、今すぐにでも二酸化炭素の排出量を減らすべきなのだとか。
「もし人間が現在のペースで温室効果ガスを排出しつづけたら、地表の大気の平均気温の上昇温度は、21世紀終わりには4.8℃になるといわれている。もし平均気温の上昇を2℃以下に抑えたければ、世界の温室効果ガス排出量を2050年までに40から70パーセント削減し、2100年には排出ゼロにしなければならないだろう。」
 台風の巨大化強力化、異常気象の増加など、最近は気候変動が激甚化しているような気がしますが、地球の平均気温の上昇がこれ以上進むと、私たちの生活や健康にも深刻な悪影響が及ぶようです。
 地図やデータで、「地球温暖化の危険性」を、まざまざと見せつけられた本でした(汗)。
 とりあえず、ムダな移動(輸送)を減らす、ゴミを減らす、冷暖房を控えめにするなど、自分に出来ることをやっていこうと思います。節約にもなるし、一石二鳥ですよね☆
 気象や地球温暖化に興味のある方は、読んでみてください。
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