『360°BOOK 葛飾北斎 雀踊り』2019/5/2
大野 友資 (著)

「360°BOOK」第5弾は、北斎漫画の「雀踊」です☆
 今回の本は書店ではなく、美術館のアートショップで見かけてしまい……やっぱり買ってしまいました(汗)。この本は小さくてお土産として手ごろなので、どうやら書店よりも美術館の方が合うような気がします。書店だと豪華で華麗な色彩の大型本の中に埋もれてしまいますから……。
 でも……葛飾北斎といったら、代表作は「冨嶽三十六景」の大波ざっぷんの「神奈川沖浪裏」でしょう! あの大迫力の躍動感を360°で見たかったなー……とちょっと思ってしまいましたが、この雀踊もアニメーションのような躍動感があって面白いし、踊り手たちの動きもかわいらしくて、なんか良い感じがします(笑)。

「雀踊り」は、文字通り雀の動きを真似て踊る伝統的な奴踊りのひとつ、なのだそうです。その昔、仙台城移徒式の宴席で、泉州・堺から来ていた石工たちが即興で披露した踊りが始まりとされているのだとか。現在も、宮城県仙台市の仙台青葉まつりで「すずめ踊り」として踊られているようです。こちらの方は即興的要素が強いのが特徴だそうですが……。
 さて葛飾北斎は、自身の絵手本・北斎漫画の第三編の中でこの「雀踊り」を取り上げていて、奴装束に笠をかぶった人々が三味線と歌に合わせて踊る様子を、今にも動き出しそうなユーモラスなタッチで描いています。一人一人の動きをじっくり見ると、なんだか力が抜けて、へにゃっとした笑いがこみあげてくる感じ……面白すぎる。
 とは言っても、他の360°BOOK に比べると、全体に地味な感じがします。枠も黒くて、踊り手たちもかなり小さめだし……それでも、小さな本を開くと、江戸時代のアニメーションが始まるという不思議な感覚が味わえる素敵なしかけ絵本だと思います☆
 これまでの360°BOOKとは、一味違う世界観を味わえます。しかけ絵本が好きな方はもちろん、浮世絵や北斎漫画が好きな方、仙台青葉まつりで「すずめ踊り」を踊ったことがある方も、ぜひ眺めてみてください☆
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