『和書:レオナルド・ダ・ヴィンチ: ポップアップで味わう不思議な世界』2019/3/22

『洋書:Leonardo Pop-Ups(英語)』2019/4/30
Courtney Watson Mccarthy (著)

 レオナルド・ダ・ヴィンチは、『モナリザ』や『最後の晩餐』を描いた芸術家としてだけでなく、科学や数学、解剖学でも才能を発揮した「万能の人」でした。彼の没後500年を記念して作られたしかけ絵本で、『受胎告知』や『オーニソプター』『ウィトルウィウス的人体図』などの6シーンが、ポップアップで立体的に表現されている、とても芸術的なしかけ絵本です。
 天才レオナルド・ダ・ヴィンチはすごく好きな芸術家なのですが、あの有名な『受胎告知』が立体的に表現されていると言われても……そもそも、あまり動きが感じられない「静かに佇んでいる」感じの絵が多いような気がして、立体にする必要性自体があまり感じられなかったので、正直に言って、なかなか買う気になれずにいました(汗)。
 でもあの超有名な人体図『ウィトルウィウス的人体図』が立体になっていることを知って、へえー、あれをどんな風に立体化しているんだろ? とがぜん興味がわいたので購入することにしたのです。
 さすがしかけ技法名手のマッカーシーさん、『ウィトルウィウス的人体図』は、ページ中央にすっくと立ちあがる、納得の造形になっていました。
 ただ……すごく端正な感じはするのですが、うわっという感じの迫力を感じられるほど大きく立ち上がってくれると、もっと良かったのになーという気もしてしまいました(汗)。大型絵本の中央に、人体図が斜めに立ち上がるので、折りたたまないサイズとしては「最大」ではあるのですが……。それに『ウィトルウィウス的人体図』は二つの姿勢を一つにまとめた形になっているので、こういう仕掛け以外に作るのは難しいとは思いますが……。
 えーと、全体としては、天才レオナルド・ダ・ヴィンチの仕事を概観できる、とても端正で芸術的な素晴らしい絵本でした。『受胎告知』などの古典的な有名作品を、こういう形で立体的に鑑賞できる本は他にないので、とても興味深く感じました。
 見応えのある美術しかけ絵本なのですが、サイズが大きい(31.1 x 3 x 33.8 cm)ので、たいていの本棚には入りきらないのではないかと思います。でも、そこもまた素敵なところかも(笑)。表紙も少し厚みがある立派な装丁で、すごく存在感のある豪華なしかけ絵本です。

・1~2ページ目:レオナルド・ダ・ヴィンチに関する解説。「サルバトール・ムンディ」と「最後の晩餐」絵画の写真あり(しかけなし)
・3~4ページ目:ページを開くと、『受胎告知』が立体的に表現されて飛び出してきます。(下に解説あり)
・5~6ページ目:ページを開くと飛行機のような『オーニソプター』が翼を広げて飛び出してきます。(左側にスケッチの写真と解説あり)
・7~8ページ目:ページを開くと『聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ』が立体的に表現されて飛び出してきます。(周囲に「聖アンナと聖母子」などの絵画数点の写真と解説あり)
・9~10ページ目:左側にラファエロの「アテネの学堂」の絵画の写真と解説あり。右側は、『自画像』が立体的に表現されています。
・11~12ページ目:ページを開くと、『ウィトルウィウス的人体図』が立体的に立ち上がります。(周囲にスケッチと解説あり)
・13~14ページ目:ページを開くと、レオナルド・ダ・ヴィンチのスケッチをもとにした建物が中央に立ち上がります。左右に設計図のめくりしかけ4つ(めくりを開くと、中から建造物が立ち上がります。
・15~16ページ目:レオナルド・ダ・ヴィンチの馬の彫刻の写真(彫刻は再現されたもの)と、馬のスケッチ写真数点と解説(しかけなし)
<Amazon商品リンク>