『GEAR WORLD 歯車で動くポップアップカード』2019/7/8
月本 せいじ (著)

 歯車を使って動かせる素敵なポップアップカードの作り方を教えてくれる本です。型紙だけでなく、切ってすぐに作れるカード台紙もあります。
 工作好きの私にとって、「歯車」というのは心浮きたつアイテム。なかでも内部で歯車で動くのが見える時計やオルゴールなどの芸術作品は、眺めているだけでも、どきどきしてしまいます。
 この『GEAR WORLD』は、なんと歯車で動かせるポップアップカードを、自分で作ることが出来るという夢のような本です☆
 丸いカードを開くと、複雑に組み合わさった歯車と影絵のようなモチーフが立ち上がり、歯車を動かして遊べる仕組みです。しかも季節の図案や文字を、アレンジして入れることもできるので、プレゼントのカードとして使うとか、お洒落なメッセージボードに使うとか、美しいインテリア小物として飾るとか、いろいろな使い方が出来ます。
 作ることが出来るのは、small、midium、large、specialの4種類の形の28作品。smallは小さくて簡単な仕組みなので、これから作り始めるといいと思います。小さいけれど、モチーフは女の子と猫のシルエットとか、とても美しくて素敵なものが多く、構造も簡単なので、自分で描いたモチーフを使った応用例も作りやすそう。モチーフも歯車も、ほぼ「切り絵」なので、普段「切り絵」作品を作っている人なら、簡単に作ることが出来ると思います。作り方説明もあります(最後にアイロン(高温で3秒ほど押さえる)をかけると、厚紙がパリッときれいになるのだとか)。
 midium、large、specialからは、2枚以上の歯車が連動して動く仕組みになります。ここからは、歯車同士がかみ合うようになるので、作るのも大変ですが、ポップアップカードを開閉する時も注意が必要になります。適切な場所じゃないところで、無理やり開け閉めすると、紙の歯車が折れてしまうから……。midium以上のカードを工作好きの人への挨拶カードに使うと、「うわー、凄い☆ どうやって作ったのー?」と「超」褒められるとは思いますが、気軽な挨拶用に使うのは、やっぱりsmallがいいかも。必要ならサイズを拡大して作ればいいと思います。

 ところで作者の月本さんは、「紙だけで作れるおもしろいポップアップカード」を目指しているそうで、この『GEAR WORLD』に掲載されている作品は、接着剤や糸を使っていません。歯車についているモチーフは、両側で本体に差し込んで組み立てるのです。「組み立ての材料」には、仮止め用の接着剤もありましたが、これはコピーした図案を厚紙に仮止めする時に使うためのものです。
 紙の材料として推奨されているのは、80~180㎏ぐらいの厚紙(ケント紙)。歯車がかみ合って回転するので、ある程度の厚さが必要だからです。白だけでなく色付きの厚紙も使うと、もっと可愛く出来るかも。
 でも……正直に言って、歯車の少ないsmallはともかく、midium以上のは、コピーされた紙が貼りついている厚紙を、綺麗に切るだけでも大変だなあと思ってしまいますが、この本には、全作品の型紙だけでなく、「8作品の切ってそのまま使える厚紙の型紙」がちゃんと付いてるのです☆ そのおかげで、すごーく素敵な作品を、ハサミやデザインカッターで切って組み立てるだけで作ることが出来ます。スムーズに動かすためには、歯車をきちんと切り出す必要があるので、このように「切ってそのまま使える型紙」がついているのが、とても嬉しいです。
 他にはない「歯車で動かせる」素敵なポップアップカードの本。しかけ技法に興味のある方にはもちろん、切り絵好きの方、工作好きの方にもお勧めです☆
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