『失敗の研究』2018/12/6
中尾 政之 (著)

 失敗を防ぐのも創造を生み出すのも、共通点は「違和感」に気づけるか否かだということを教えてくれる本です。
 失敗してしまうのと、創造できないのとでは、一見まったく違う問題のように感じますが、じつは「違和感に気づけなかった」という、同じ原因が潜んでいるのだそうです。
 だから、「いつもと違う」「なんか変だな」「これは何だ?」という小さな違和感を覚えたら、そのことを自分のアイデアノートにメモしておき、後になってメモを見返すことを繰り返していくと、「あれは、こういうことだったのか」という気づきが得られ、さまざまな違和感をつないでいくことで、失敗を防いだり、創造をしたりするためのアイデアが生まれてくるのだとか。
 なるほど……。そう言えば、記憶力にあまり自信がない私は、思いついたことを何でもメモしておく習慣がありますが、確かにこれによって「思い出す(失敗を防ぐ)」だけでなく、「思いつく(創造する)」ことも多いような気がします。
 そして創造する(自説、仮説を考えて述べる)ためには、脳を「マインドワンダリング(心の彷徨、集中せずに何かを無意識に考える状態)にするといいのだとか。ちなみに、この状態になるには、「座禅と同じように、息を吐く回数を数えながら、呼吸に集中していくと、数分間で集中状態からマインドワンダリング状態に移行できる」のだそうです。
 でも、小さな「違和感」に気づく感度の低い人は多いそうで、この感度を上げるためには、違和感を見つける(違和感の対象をスマホで撮影する)、新しいことをする(知らない映画を見て、知らない本を読んで、知らない人と話してみる)などを試みるといいようです。そしてもちろん「まずよく寝て、仕事に集中できる状態を準備し、次にその集中の合間にリラックスした時間も取ること」です!
「違和感」に気づく。ノートに書き留める……そして、リラックスしながら、よく考えてみる……この「失敗を防ぎ、創造力を高める方法」は、いろんな場面で役に立ちそうな気がしました。『失敗の研究』というよりは、『創造力の高め方』の比重が高いような気がしましたが(汗)、「失敗を防ぎつつ」「創造力を高める」ことが出来る方法を学べるなら、二重の意味で美味しいと思います(笑)。
 他にも、「歴史から自説を立てることが、仮説検証のトレーニングになる」など、いろいろなヒントを得ることが出来ました。ぜひ読んでみてください☆
<Amazon商品リンク>