『ザ・パーフェクト―日本初の恐竜全身骨格発掘記: ハドロサウルス発見から進化の謎まで』2016/7/4
西村 智弘 (監修), 土屋 健 小林 快次 櫻井 和彦
日本初の恐竜全身骨格発掘を描いたノンフィクションです。
北海道のむかわ町で見つかった「すごい恐竜化石」。それはハドロサウルスの全身骨格でした。
ところがこの化石、実はアマチュアの化石収集家によって発見されてから、なんと8年も博物館で眠っていたのです(笑)。
ところで北海道って、実はアンモナイトの化石がいっぱい出ることで世界的に知られているんだそうです。日本の博物館で形の整った綺麗なアンモナイトの化石を見かけたら、それは高確率で北海道産なんだとか……まったく知りませんでした(汗)。デパートで売られているアンモナイトの化石を見ると、綺麗だなーーって思わず見入ってしまっていたのに……。もちろん恐竜(の化石)を見るのも大好きで、博物館で大型の恐竜の化石を見ると、思わずテンションが上がってしまいます。
そして、このノンフィクションは日本初の恐竜全身骨格発掘記☆ もちろんわくわくして読み始め、期待以上の内容に驚かされました(笑)。というのも、単なる学術的な発掘記ではなく、発掘に関わる人々のヒューマン・ストーリーも満載で、すごく臨場感に溢れていたからです。
「ワニの化石かな?」と思って拾い上げた骨化石を穂別博物館に寄贈した人、それが恐竜の化石だと気づいた研究者、化石のクリーニングをする技術者、そして発掘の指揮をとる研究者、化石が出た町の町長さん、さらには恐竜の絵を描くイラストレーターまで、さまざまな人々の関わりようが、ドキュメンタリー・タッチで、細部まで活き活きと描かれていくのです。
特に「第三部 発掘」は圧巻です☆ 発掘にはトラックや重機が必要なので、現地までの林道整備から始めなければならないのだとか。大学院生など、大勢のスタッフが動員され、学術的に貴重な情報を記録するなど、さまざまな活動を知ることが出来ました。
また、それだけでなく、恐竜に関する知識もきっちり詰まっています。北海道からは時代を決めることができる「示準化石」が豊富に産出されているので、この恐竜化石の発見で白亜紀末期の恐竜進化の謎の解明が期待されることや、恐竜図鑑的な記述もあって、これ一冊読んだだけで、恐竜に関するかなりディープな知識が得られた感じがしました(笑)。数年後には化石のクリーニングが終って、全身骨格が公開されるとか……ぜひ見に行きたいと思います(すでに2018年10月から公開されています)。
とても面白いサイエンス・ノンフィクションでした。とても読みやすい内容なので、恐竜や化石が好きな方にはもちろん、特に知識のない一般の方にもお勧めします☆
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