『科学史ひらめき図鑑 世界を変えた科学者70人のブレイクスルー』2019/1/17
スペースタイム (著), 杉山 滋郎 (監修)

 燦然と輝く発見・発明にも、必ずあった「行き詰まり」。この本は、そんな苦難を乗り越えるきっかけとなった科学者達の「ひらめきの瞬間」に焦点を当てて紹介してくれます。
 科学者・技術者たちの発見や発明の中から、ビジネスでもヒントとなるような有名なブレイクスルー(ひらめき)のエピソードを選んで、楽しく読める面白いイラストで教えてくれるのです。次のようなエピソードが紹介されていました。
・「たまには美学を貫いてみる」地動説の提唱/ニコラウス・コペルニクス
・「あえて穴を空けておく」元素の周期表の作成/ドミトリ・メンデレーエフ
・「うわさも検証次第では役に立つ」種痘法の開発/エドワード・ジェンナー
・「アイデアが生まれる仕組みを作る」量子力学の発展に貢献/ニールス・ボーア
・「『不可能』という事実を発見する」カオス現象/エドワード・ローレンツ
・「足りないものに目を向ける」ビタミンB1の発見/鈴木梅太郎

 たとえば「あえて穴を空けておく」のメンデレーエフは、1869年、元素の名前を書いたカードを作り、何らかの規則にしたがって縦横に並べることで法則が見つからないかと試行錯誤していたそうです。彼は元素を原子量の順に並べると、一定の化学的性質が繰り返されることを確信しました。そして、当てはまる元素が見つからなかったり、うまく並ばなかったりしたところは「空欄」のままにしておいて、そこには未知の元素があると予言したのです。こうして元素の周期表が誕生しましたのだとか。
 ……「空欄」を開けておく。すごく簡単で、当然のことのようにも思えますが、現実には、なかなか出来ないことかもしれないなーと思わされました。もちろんみなさんご存知の通り、この元素の周期表は、その後どんどん空欄が埋められて、現在も使われています。
 この他にも、有名な科学のエピソードが満載。全部で70のエピソード(ひらめき)があります。
「ひらめいた経緯」を知ることで、「結果を出すための神髄」を学ぶというのが目的の本のようですが、これらのエピソードを利用して、うまく「ひらめけ」なかったとしても、少なくとも教養として役に立つ「科学の知識」がつく(復習できる)ので、読んで損はないと思います。全部のエピソードを通しで読む必要はなく、スキマ時間でぱらぱら眺めることが出来る本なので、気軽に読めそうに感じました。ぜひ一読してみてください。
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