『IoTエンジニア養成読本 設計編 (Software Design plusシリーズ)』2018/3/13
片山 暁雄 (著), 坪井 義浩 (著), 松下 享平 (著), 大槻 健 (著), 松井 基勝 (著), & 5 その他
IoTシステムの構築経験のある著者陣が、IoTシステムの設計に必要な基礎知識と実践的なノウハウを分かりやすく解説してくれる本です。内容は次の通りです。
プロローグ IoTシステム開発に求められる力―多彩な活用事例を通して見えるもの
第1章 デバイス/ファームウェア―プラットフォームやセンサーの選定/調達/量産/クラウド連携
第2章 IoT通信の選択肢―IoTに適した通信方式
第3章 クラウド―Amazon Web Services/Microsoft Azure/Google Cloud Platformの特徴と利用方法
第4章 セキュリティ―設計ガイドラインと認証設計例
第5章 事例紹介―消費電力の効率化/クラウド連携/回線管理―The New Normal AWS Architecture
エピローグ 未来展望―IoTが創り出す価値とは
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IoTに関する概要や事例紹介の本は読んだことがありますが、この本はデバイスやセンサー、システムの具体的な名前や写真が豊富で、IT技術者には、すごく実践的で分かりやすい内容でした。
プロローグで、実際のIoTシステム開発の事例(設備メンテナンスの時間を減らすためにIoTを活用した有限会社協同ファームなど)を読んで、IoTシステムの概要がぼんやり把握できたところで、「第1章 デバイス/ファームウェア」では、「プロトタイプに向いたプラットフォーム」として、Arduino、Raspberry Pi、Arm Mbed、Amazon FreeRTOS、Mongoose OSなどが、「センサーの選び方」として、Grove、Pmodなどが、写真つきで紹介されます。実際にデバイス等の実物の写真を見ることで、IoTシステムがどういうものかを「具体的に」理解しやすいと思いました。
またIoTシステムでは、「クラウド」を使うことが現実的なようです。本書の中に、次のような記述がありました。
「IoT時代のファームウェアが実現することは、出荷までの実装量を減少させることにより、低価格な製品をスピーディに顧客に届けつつも、クラウドの力でモノの価値を「あとから向上」できるようにすることです。」
……なるほど。確かに、変化が激しい現代では、クラウドの力で、新しい機能などをデバイスに「あとから追加・変更」できる方が現実的なのかもしれません。クラウドを使えば、通信量やデバイスの台数の増減も、クラウド側で対応することも可能でしょうし……。
さらにIoTシステムを構築する上では、とても気になるセキュリティに関しても、設計ガイドラインや認証設計例など、いろいろな情報が掲載されていました。例えば「IoTセキュリティガイドライン(IoT推進コンソーシアム IoTセキュリティワーキンググループ)」の概要は次の通りです。(詳しいガイドラインは、ネットに掲載されているようですので、検索してみてください)
指針1 IoTの性質を考慮した基本方針を定める
指針2 IoTのリスクを認識する
指針3 守るべきものを守る設計を考える
指針4 ネットワーク上での対策を考える
指針5 安全安心な状態を維持し、情報発信・共有を行う
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IoTシステムについて、かなり具体的・総合的に紹介してくれる本でした。今後、IoTはさらに普及していくことが予想されますので、IT技術者の方はぜひ読んでみてください。
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