『「紙」の大研究〈3〉紙をつくろう』2004/4
渡部 国夫 (監修), 高岡 昌江
紙について、紙の目や燃え方などの色々な「性質」を分かりやすく解説してくれる本です。「「紙」の大研究」の3冊目で、新聞紙や野草などから自分で紙を漉いてみる方法も写真やイラストで説明してくれます。
たとえば「紙の目」については、「破ってみる(目の向きには紙がまっすぐに破れる)」とか、「紙を垂らす(長く切った紙を水平にして半分を垂らすように並べると、目を縦に垂らした紙がピンと張ってしっかりした感じなのに対し、目が横になった紙はだらーんと垂れ下がってしまう)」などのように、実験した写真を例に教えてくれます。
他にも、「紙の鍋はなぜ燃えない?」という不思議な実験がありました。普通は火をつけると簡単に燃え始める紙でも、それを鍋のような器にして水をいれて火にかけると……燃えずに「鍋」として使えるそうです。その理由は、「紙はおよそ230℃で焦げ始め、炎をあげて燃え始める温度(発火点)は新聞紙で290℃ぐらいと言われる。(中略)水が入った紙の鍋の場合、火にかけると紙の熱が水に伝わり、紙の温度が上がりにくくなる。水が沸騰して水蒸気に変わる温度は100℃。いくら熱してもそれより上がらず、紙の発火点には達しない。だから紙は鍋の役割を果たすことができる。」のだとか! 魔法みたいですね。
そして「紙をつくる」章では、なんと「野草」を材料に紙を作る方法を教えてくれます。「(ぐだぐだに煮込み過ぎの)ほうれん草のおひたし」みたいに、よく煮込んだ野草を漉いて作るのですが、煮るときに「両手いっぱいの野草に対して、(アルカリ性)の重曹を5gぐらい加え」るのがポイントのようです。これをすると「紙」のようになりますが、しないと「海苔」みたいなものが出来上がるとか。また、洗濯機の洗濯ネットにたまる「洗濯くず」を使っても、「紙」を作ることが出来るそうで……よく考えると、昔の紙は麻などの繊維のボロを使って作っていたのですから、洗濯くずを紙にすることは出来るはずですよね(笑)。興味がある方は、ぜひ試してみてください。