『和書:イマジン』2013/10
ノーマン・メッセンジャー (著), 荒俣 宏 (翻訳)

『洋書:Imagine(英語)』2005/11
Norman Messenger (著)

大人の暇つぶし絵本という感じの本で、「だまし絵」「頭の体操」「めくりしかけ」「伸びるしかけ」「逆さ絵」など、様々な仕掛けがギュッと詰め込まれています。2005年にOppenheim Toy Portfolioの金賞を受賞、2006年にはV&Aイラスト賞 のショートリストに選ばれているというアート性の高い絵本でもあります。
実は、なんと表紙にすら「仕掛け」があります。本の下部分に太い「帯」がついていて、そこに女性の顔が描かれているのですが、帯をはずすと実際の表紙には、大口をあけた顔の下半分だけが描かれていて、ぎょっとさせられます。ちなみにこの表表紙の「女性の顔」は、本の中心あたりに「折り畳みの長いイラスト」で描れていて、そこでようやく表紙本体と帯のイラストが合体した姿を見ることが出来ます。さらに後表紙には詩のような文章が書いてあるのですが、表表紙と同じように太い帯の下には別の文章が……。内容から考えて、「帯」なしの下の実際の表紙の方ではなく、「帯」がある方が本物の表紙のように見えますが、これって、どうなんでしょうか?(苦笑)「帯」は本棚に入れておくと壊れがちなので、ちょっと心配です……。
この本は一言で表現すると「謎の本」です(笑)。なんだか意味不明なイラスト、仕掛けが満載、おまけにクイズもいっぱいで、読み進むうちに、頭の中が「?」まみれになってしまいます。
しかけ絵本としては、派手な「飛び出す」仕掛けなどはなく、比較的単純な「めくり」仕掛けが多いのですが、「このめくり仕掛けにどんな意味があるの?」とツッコミを入れたくなるような謎のイラストが多くて困惑させられます(笑)。
しかも「めくりによる組み合わせ仕掛け」としては複雑な構造(上下・左右にめくるページのある小冊子が横に2つ並べてある)になっているため、組み合わせのパターンが、より複雑になるという凝った仕掛けを使用しています。また組み合わせ仕掛けとして、他に回転する「円盤組み合わせ」も入っています。
他にも、構造が単純なのに意外に絵本に使われることの少ない「伸びる仕掛け」もあり、これは、折り畳まれているページの中央部分を広げることで絵柄が長く伸びるという単純なものなのですが、表情が大きく変化するなど、かなり効果的に使われています。これらの「単純なのか複雑なのか判断に迷う仕掛け」は、しかけ技法に興味がある方にとっては、すごく参考になるのではないでしょうか。
そして、この絵本の最大の特徴は「奇怪なのか面白いのか、リアルなのかデフォルメなのか判断に迷う不思議なイラスト」。うーん……個人的には、もっと可愛い絵柄の方が良かったような気がしますが、これはこれで味があっていいのかも……(汗)。
とにかく「謎に満ちた本」で、クイズや隠し絵も楽しめます。絵本の隅っこにさりげなくマッチ棒パズルなども書いてあり、20個くらいのパズルや問題も楽しめます。もちろん問題への回答も、本の裏表紙に「めくりしかけ」でついていますので、正解を確認することが出来ます。
残念ながら「絵柄」がお世辞にも可愛いとは言えないし、パズルも幼い子どもには少し難しいので、小学校高学年以上の方にお勧めします。いろんな意味で、「謎本」が好きな方には、特にお勧めです☆

・表紙:帯の下は「大きく開いた口」で、帯をつけると「女性の顔」になる仕掛けあり。帯がないと、かなり不気味な表紙になってしまうので、帯を破かないよう気をつけましょう(汗)。
・1ページ目:タイトル&発行年などの情報。右ページのタイトルの下に「扉」のめくりしかけあり。
・2~3ページ目:あしのない椅子などの謎イラスト。右上と左上の隅に「パッチ棒パズル」などのパズル2個あり。
・4~5ページ目:騙し絵&隠し絵(風景の中にかくれている大男を探す)右上と左上の隅に「図形」などのパズル2個あり。
・6~9ページ目:めくることで姿が変形する謎動物のイラスト。折り畳みを開いたり、ページを重ねたりすることで、動物たちがいろんな変化を見せます。
・10ページ目:逆さ絵の町(絵の上下を逆にしても「町の風景」)。左上にマッチ棒パズル。
・11ページ目:人間の円盤(円盤を回すと、人間の顔が変化します)。右上に図形分割パズル。
・12ページ目:野菜人間の騙し絵。左上にマッチ棒パズル。
・13ページ目:四角い車輪の自転車などの謎イラスト。
・14ページ目:あちこちに変なところのある風景の騙し絵。左上にパズル。
・15ページ目:折りこみを伸ばすと、可愛い女の子の絵が急に怖くなります。右上にパズル。
・16~17ページ目:折りこみを伸ばすと、帽子に隠したものや、女性の大口が見えます(表紙&帯の女性の絵と同じもの)。
・18ページ目:折りこみを伸ばすと、森の大木のなかに魔女の家(?)が。右上に数字パズル。
・19ページ目:取っ手のないカバンなどの謎イラスト(カバンにめくりしかけあり)
・20~21ページ目:間違い探し(12か所)。右上と左上の隅にパズル2個あり。
・22ページ目:逆さ絵の人間たち
・23ページ目:変身する謎の動物たち(上下・左右にめくる仕掛けあり)
・24~25ページ目:夕日に染まる空の雲の風景(雲の形がいろんな動物に)。左上に図形パズル。
・裏表紙の内側:イラストの中に、パズルの回答がめくりしかけで隠されています。
・裏表紙:動物のイラストと文章(帯の下の文章と、帯をつけた時の文章が変化します)。