『人類が変えた地球: 新時代アントロポセンに生きる』2015/7/17
ガイア ヴィンス (著), Gaia Vince (原著), 小坂 恵理 (翻訳)

「地球温暖化など人類がこの数十年に起こした変化は大きい」ということを、自分の目で確かめようと世界各地を実際に旅したヴィンスさんの報告です。
タイトルの「アントロポセン」とは、「人新世」とも言われる新しい言葉で、地質時代の年代区分に、「人間が地球を作り替えるようになった時代」という新区分を加えたもので、正式に認められた名称ではありませんが、最近広く知られるようになってきた言葉だそうです。
「大気」の章から始まるこの本には、ヴィンスさんの旅した場所、「山」「川」「農地」「海」「砂漠」「サバンナ」「森」「岩」そして「都市」に対して、人間の営みが与えてきた影響が、リアルに描かれています。旅行先のほとんどの場所は、アクセスが非常に大変な場所で、本来ならば自然が残っているはず場所なのですが、そんな場所でも、人間の営みの影響を避けることはできません。私たちの影響は、生物種の大量絶滅、海の化学成分の変化、森林の減少と砂漠化の進行、ダムにせきとめられた川、氷河の後退、島の水没、大気をいきかう電波など、さまざまな場所にあらわれています。
地球温暖化による水不足、工業・生活排水での汚染、飢餓・貧困……でも辺鄙な場所では、貧困にあえぐ人々の暮らしがあり、単純に「排水を垂れ流すな」、「エコな生活をしましょう」とだけ言えないほど悲惨な現実があります。
地球温暖化の影響は、人間があまり住んでいない山地にも及んでいます。山の高い場所でも、気温が上がっていて氷が失われつつあると言います。それでも独創的な知恵を活かそうとする人間はどこにでもいるようで、ヒマラヤに自然環境を効果的に利用して「人工氷河」を作ることで克服するなど、さまざまな「現実的な」試みも紹介されています。
また、痩せた農地で、遺伝子組換え作物を栽培しようとする人々もいます。「遺伝子組換え作物」の有害性と「肥料や除草剤」の有害性とどちらが大きいのか、判断に困ります……。もしかしたら大自然の海を泳いでいる魚よりも、養殖魚の方が「安全」な時代もきてしまうのかもしれません(汗)。
この本は、人間が地球に及ぼす深刻な影響を実感させてくれますが、すべての物事が連鎖的に影響を与えているので、この地球規模の大きな問題に、どのように対処すればいいのかは簡単ではありません。人間の営みもまた「自然」の一部だと考えることも出来そうな気もしますが(汗)、少なくとも戦争やテロの兵器での自然破壊など、食い止められる可能性のある愚かな行為は、できる限り避けるべきだと思います。
それでも、いまさら原始生活に戻りたくもありません。スーパーマーケットで買ってきたラップに包まれた肉を捨てて、里山で狩りをするなんて生活が、できるはずもありません……(汗)。
この本は、人間が地球に与える影響のドキュメントだけでなく、地球の創生や生態系などの科学知識も解説してくれるので、とても勉強になりました。また、ヴィンスさんの旅行先も、自分ではとても行きにくい僻地ばかりなので、情報としても貴重だと思います。
……とりあえず自分としては、「もったいない」精神を発揮して「エコ」な生活をするよう心掛け、できるかぎり地球に悪影響を与えないようにしよう、と思いました(汗……こういう壮大な本を読んでも、いつも自分でやることは「ミミッチイ」感じになってしまうのだなー……)。