『ブッダにならう 苦しまない練習』2011/3/30
小池 龍之介 (著)

寂しさや不満など「自分を苦しめるもの」から、自分を解き放つ方法を教えてくれる本です。ブッダという「古代の偉大な先生」の教えとともに、「苦しまなくなる」ために、日常生活のなかで簡単に実践できる25のシンプルな心のトレーニングが紹介されています。
実は、子どもの頃はけっこう八方美な性格をしていて、とにかく誰からも嫌われたくないと思っていました。そのせいか対人関係が苦手で、すごく引っ込み思案な子供だったような気がします。驚くほど色々な事で毎日悩み、いつも「くよくよ」しているヤツでした(汗)。それでも今になって思えば、あの頃とことん「くよくよ」したからこそ、現在の「精神的にちょっと図太くなった」自分になれたのだとも思います。
さて、この本によると、人間には「苦しみ」たくないと思いながらも、怒らなくてもいいことで怒ってわざわざ苦しんだり、心配しなくていいことも心配して苦しんだりと、深層心理では、ある意味、「苦しみたい」という衝動で動いている側面もあるそうです。それは生存本能から来ているのかもしれないのだとか。自分の生存にとってマイナスとなるような出来事から逃げ出すために、脳内に不快な神経物質を発射して「危険だ、逃げろ」という信号を出し、その結果として生き延びることが出来るようになるため、「苦しみ」は役に立つと感じてしまう……なるほど、そうなのかも、と思わされました。
このように無駄に暴走しがちな「苦しみ」を食い止めるための「苦しまない練習」が、この本の中心テーマです。「ブッダの教え」が練習のもとになっていますが、宗教的なものはほとんどなく、ブッダの「言行録」から、現代の私たちに役立つ「苦しまない」ための教えを引き出すのが狙いだそうです。
例えば「lesson1:非難に備える」では、「みんなとにかく何かにケチをつけたがっていて、強引にでも理由を見つけてケチをつける。世間というのはしょせんこんなもの。「誰にも非難されない人」なんて歴史上一人もいなかったし、現在にも未来にもそんな人は一人たりとも出てこないだろう。」というブッダの言葉が紹介され、続いて「lesson2:大人になる」では、「今の世の中では、打算なき真の友だちは、めったに見つからない。人々はこざかしくも損得勘定のそろばんをはじいてばかりで、君を食いものにしようとしている。ゆえに真の友が見つからない時は、いっそのことただ独り歩むのが潔い。」などなど、心に響く「ブッダの教え」をたくさん見つけることが出来ました。
このように人間を「苦しめがちなこと」に関するブッダの教えが、25も紹介されますので、その時々の自分の気持ちに、一番ぴったりする教え(ヒント)を見つけられるのではないかと思います。
それにしても……「lesson6:真の友を見わける」のブッダの言葉、「君よ、君にとって心地良いセリフばかり言ってくれる人は友ではなく、「友人もどき」だと幻滅しておくと良い。そのポイントは四つ。1)君にとって悪いことでも、いつも「そうだよね~」と同意する。2)君にとって良いことでも、いつも「そうだよね~」と同意する。3)目の前ではいつも君のことを褒める。4)君のいないところで君の悪口を言う。これら四つのポイントが揃っていれば、友ではなく「友人もどき」と見抜いて離れるといい。」なんて文章を読むと、ブッダが生きていた時代(今から2500年ぐらい前)の人間も、今の人間も、同じような悩みを抱いているんだなーと複雑な気持ちになります。もしかして、まったく進歩していないのか……それが「人間性」というものなのでしょうか……。いやいや、「悩み多き自分」であることは、自分の成長のために必要不可欠なのかもしれませんね。
とは言っても、自分の成長を阻害するほど無駄に「苦しむ」必要などないので、ぜひ「苦しまない」練習をしたいと思います。
全体としては、「自分の見方を変える」ことで、自分を「苦しめている」対象から離れるのが一番のポイントのように思えました。この本では、「ブッダの教え」をもとに、「見方を変える」ためのヒントをいろいろ紹介してくれています。また「瞑想」などを活用して、「今ここ」に意識を集中することで、「苦しめている」ものから離れるというのも有効なようです。
これら25の練習の末尾には、それをテーマにした4コマ漫画(鈴木ともこさんの漫画)も掲載されていて、これも面白かったです。個人的には、「自分に勝つ」がテーマの時の、「チーム言い訳」と「チーム良心」の脳内対決(1勝1敗)が気に入りました。「怠けたい……」という気分になった時には、「チーム言い訳」と「チーム良心」が脳内対決をしているのを思い浮かべて、「チーム良心」を応援したいと思います(笑)。
なにかに苦しんでいる方は、ぜひ読んでみてください。「苦しまない練習」をしましょう☆