『秒速8キロメートルの宇宙から 訓練編』2017/6/26
大西卓哉 (著), 宇宙航空研究開発機構 (著), JAXA (著)

宇宙飛行士・大西卓哉さんの宇宙飛行士訓練日記。宇宙飛行士のリアルな日常を綴った人気の宇宙ブログを書籍化した本です。
大西さんは、2016年7月、ロシアのソユーズ宇宙船で宇宙に飛び立ち、ISS(国際宇宙ステーション)に115日間滞在しました。この『秒速8キロメートルの宇宙から 訓練編』は、2016年7月の打ち上げ直前までの1年半の訓練中の日常のブログで、宇宙飛行士がふだんどんな生活をして、どんな訓練を受けているのかがリアルに描かれています。
打ち上げ1年半前の2015年の1月13日には、ソユーズ宇宙船の座席の型取りが行われたそうです。実は宇宙船の座席は、地上に帰還する際のG(重力加速度)に宇宙飛行士が耐えられるように、個人個人の体型に合わせて型取りされるのだとか! バスタブみたいなものに、すっぽり入っている大西さんの写真も掲載されています。……ということは、これから1年半以上も、体型を維持しなければならないのですね。でも意外に「無理なく自然に」維持されるのかも。だって、この後の訓練、知力・体力的にかなりシビアなものばかりのようだし、そもそも宇宙飛行士になる方たちは、モチベーションも高く、頑張り抜く力も群を抜いている方ばかりですから(ちょっと無理かも……と内心では思っていても、「やれる!」と答えてしまうのだとか)。
訓練中には、意外なことに、宇宙とは無関係そうな冬期サバイバル訓練や水中訓練も行います。これはソユーズカプセルが雪山・雪原に不時着した時や、海などに不時着水したケースを想定した訓練だそうで、こういう非常事態の訓練は、他のいろいろな非常事態にも役に立つので、すごく大切だなと思いました。
もちろん1年半の訓練中には、宇宙での非常事態に対処する訓練を、さまざまなケース(ガス漏れ、急減圧、火災など)を想定して何度も行っています。超エリートぞろいの飛行士の方たちなので、訓練でもほとんど失敗しないようですが、大西さんは数回、ケアレスミスをしたことを書いていて、その都度、冷静に分析しています。これを読むと、訓練は「失敗」することに一番価値があるのだなと思わされます。そして非常事態を想定して何度も訓練することで、現実に万が一の事態が起こった時に、冷静に対処できる能力(精神力を含めて)が身につくのだなと思いました。
宇宙食とかトイレとか、宇宙で生きていくのは、「生きること」だけでも大変そう(汗)。宇宙飛行士の命を守るためと、宇宙での人間の生活データを取るために、自分で採血する方法なども訓練させられるようです。
この本は、打ち上げ直前までの日々の生活・訓練がほぼリアルタイムで書きこまれたブログを書籍化しているので、宇宙飛行士の現実の生活を垣間見ることが出来ます。しかも、めったに見られないような貴重な写真もたくさん掲載されています。すごく興味深い内容ですので、宇宙飛行士になりたい方はもちろん、宇宙に興味のある方はぜひ読んでみてください☆