『ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで』2000/10/1
エドワード ゴーリー (著), Edward Gorey (原著), 柴田 元幸 (翻訳)

AからZまでが名前の頭文字についた子どもたちが、次々に怪我や死に遭遇していくという恐ろしいABCブック。多くのマニアに愛される大人ための絵本作家・ゴーリーさんの代表作です。
(※ここから先は、物語の核心にふれるネタバレを含みますので、結末を知りたくない方は読み飛ばしてください)
この絵本、確かに有名な代表作なのですが……最初にこれを見た時には、「うわ! ないわ……」と思ってしまったほどの悲惨なお話ばかり。……いや、でも、このちびっ子たちが、そんな悲惨な目にあってるはずないわ、だってみんな、あまり悲しい顔してないし……と心を落ち着けようとしたのですが、裏表紙を見て、ふたたび絶句。
そこにはびっしり立ち並んだ墓標が……。もしかして、この墓標、表表紙で、笑う死神の傘の下にびっしり立ち並んだ「ちびっ子」たちの並び方と同じなのでは(泣)。
ということで、決して好きな本ではありませんし、「ユーモア」ジャンルに入れていいのかどうか迷う作品ではありますが、こんな本、「ユーモア」扱いしないと心が暗くなり過ぎるわ!ということで、他の作品とともにこのジャンルに入れさせていただきました。
この本では、ABC順に26人のちびっ子たちが、次々にひどい目にあっていきます。左ページに英語の原文、右ページに白黒のペン画、画の下に邦訳がつくという構成の絵本です。
さてABCブックというのは、よく教訓譚などに使われるそうですが、この本の教訓はいったい何でしょう? 裕福な家で育ったのではないかと思われる、真面目で端正な顔立ちをした「ちびっ子」たちは、ほとんどが無表情のまま淡々と悲惨な目に合っていきます(その寸前のことが多いですが)。いったいどういう訳で、こんな目にあうのか分かりません。
しかもなぜ『ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで』というタイトルなのかも分かりません。楽しい遠出のあとでも、みんなが一斉に死んで行くこともあるよね、って感じなのでしょうか?(泣……そんなこと、めったにないわ!)
この本は、うっかり読んでしまうと後悔するかもしれません。最初のページで、いきなりエイミー(AMY)が、階段で飛んでいます。少女エイミーが「何かどうかした?」という感じの淡々とした表情で、階段に浮かんでいて、絵の下に書いてあるのは「Aはエイミー かいだんおちた」。……「え?」と思って急いで次のページをめくると、大きな2頭のクマにつけ狙われているセーラー服の少年が。「Bはベイジル くまにやられた」。ぎょえー!
その後も、びょうを飲むとか、火だるまになる、線路で圧死、沼でおぼれる、オノでグサッ、ケンカのまきぞえ……絶対にイヤとしか思えない26通りの死に方で、26人の子どもたちが次々に死んでいくのです。
なのに……淡々とした表情で階段を飛んでいるエイミーが、最初に見た衝撃のせいか、脳細胞にしみついてしまうのです。そのせいなのでしょうか、何度も手にとってしまうのは……(泣)。
傑作なのだとは思いますが、ホラー好きの方にだけ、お勧めしたい作品です……(ちなみに私は、ホラーは好きではありません!)。