『完全解説 日本の火山噴火』2017/3/25
島村英紀 (著)

火山のメカニズムを解説するとともに、日本の50火山の噴火の歴史、被害、近年の動向などを集約して紹介してくれる本です。
冒頭には御嶽山や新燃岳の噴火のカラー写真が掲載されていますし、内容も充実していて、とても読み応えがありました。でも目次をざっと見た時に、火山が関西や四国にはほとんどないことに気付いて、なんだか不思議な気がしたのですが……実は、日本の火山帯には「東日本火山帯」と「西日本火山帯」があり、「西日本火山帯」は九州を貫いているそうです。
「海洋プレートがある深さまで達しないとマグマが生まれないために、四国や山陰地方ではフィリピン海プレートが「浅すぎて」マグマができない。四国や山陰地方に火山がないのは、こういった理由からなのである。」
そうか、そういう理由で関西や四国に火山が少ないのか……と思いましたが、同時に思い出したのが、あの1995年の阪神淡路大震災、プレートは日本列島に潜りこんでいるので、火山がなくても大地震は発生するということなのでしょう。
「日本の火山の数は、世界の陸上にある火山の1/7もある。日本の陸地の面積は世界の陸地の2.8%しかないから、面積に比べると大変な数の火山を抱えていることになる」のだそうです。そんな場所で生きている人間として、火山の危険性について知っておくことは、とても重要だと思います。
ところで現在、火山について「休火山」と「死火山」という表現は使われなくなったそうです。その理由は、「1979年10月に、死火山だとされていた御嶽山がいきなり噴火したから」なのですが、この御嶽山が2014年に再び噴火し、登山者など58名が死亡したことを思い出し、とても悲しい気持ちになりました。長く「死火山」だと思われていた山で、このような大惨事が起きたことは、現状では、火山噴火の予知は不可能だということを痛感させられます。
実際、この本にも、残念ながら、対処法についての記述はあまりありませんでした。現状では火山噴火の予知はきわめて難しく、火山が急に大爆発を起こしたら、火砕流の速さは時速60キロを超え、噴石は車ぐらいの大きさのものもあるそうで、「危険な火山にはとにかく近づかない」に限るようです(汗)。
なお、火山による被害については、次のようなものがあります。
・噴石の恐怖
・岩屑なだれと火山泥流
・有毒ガスの恐怖
・火山灰がおよぼす人体への影響(呼吸器疾患、じん肺、目の疾患、皮膚の炎症)
・火山灰による交通網への影響など(停電、機械故障、住宅破壊、貯水池の水汚染)、他

私たちは大規模噴火を経験していないので、現実には、火山の怖ろしさについてはあまりピンときていないのかもしれません。この本の「那須岳」のページには、「いまでもこの火山からは有毒な火山ガスが出続けている。近づく生き物を殺してしまう観光名所「殺生石」は公園になっていて駐車場も整備されている。しかし、その殺生石のすぐ近くは火山ガスのために立ち入り禁止になっている」という記述がありましたが、私自身この「殺生石」を見に行ったことがあり、観光気分で能天気に眺めてしまいましたが……そうか、石のせいじゃなくて、火山ガスが強くて動物が死滅してしまったのかと考えて、いまさらながら慄然としました。
過去には、火山の噴火が、文明さえ消してしまったことが何度もあるのです。
例えば、日本の大規模カルデラ噴火でいちばん近年のものは、7300年前に九州南方で起きた「鬼界カルデラ噴火」だそうですが、「このカルデラ噴火で大量にでた火山灰は、関西でも20㎝、遠く離れた関東地方でさえ10㎝も積もった」ために、西日本の縄文初期の文明が断絶してしまったのかもしれないとか!
現在、日本の火山は不思議なほど静かな状態が続いているそうです。
「20世紀には、初めのうちに2回の大噴火があっただけで、以後現在に至るまで100年近くは異例に静かな状態が続いているのである。(中略)1929年以来、現在まで100年近く大噴火はゼロが続いている理由はわかっていない。だが地球物理学的には静かな状態がいつまでも続くことはありえない。もっと「大噴火が」多い「普通の」状態に戻ると考えるのが地球物理学的には自然なのである。このため大噴火が、残り80年あまりしかない21世紀に少なくとも5~6回は起きても不思議ではないと考えている地球物理学者は少なくない。」
えええええ! ……これからも当分の間は、「静かな状態」が続くことを、とにかく祈りたいと思います。