『キヨミズ准教授の法学入門』2012/11/22
木村 草太 (著), 石黒 正数 (イラスト)
法的思考とは何かなど法学の基礎について、物語形式で面白く教えてくれる「日本一敷居の低い法学入門」です。
実を言うとこの本には、イラストを担当している石黒正数さんの関連書籍を検索する途中で出会いました(笑……石黒さんは、アニメ化もされた大人気漫画『それでも町は廻っている』の作者です)。「法学入門」なのに、なぜかイラスト付の若者向け小説みたいなスタイルで、法学の基本的考え方や歴史を教えてくれるという趣向の本なので、章ごとに最初に石黒さんによる漫画風イラストがあって、場面や登場人物のイメージがつかめるようになっています(ただしイラストはほんの数ページなので、石黒さんの漫画のファンの方向けの本ではありません……汗)。
さて、物語は、山の上の高校に通う2年生の僕(キタムラ)が、放課後に寄り道した喫茶店「赤ひげ小人」で、近所にある港湾大学のキヨミズ准教授と出会う場面から始まります。大学で「受講生0人の法学入門」を受け持つ少しヘンなその先生は、お願いもしてないのに、法的思考のすばらしさを高校生相手に嬉々として語り出し、「法的思考とはどんな考え方か」とか、「社会科学とはどんな学問か」とか「法と法学の歴史」とかを分かりやすく教えてくれます。
この講義の舞台は、喫茶店だけでなく、動物園、高校の文化祭、果てはUFO騒ぎの起こった夕方の大学と次々変わるので、普通に考えると面白くないとしか思えない「法学入門講座」が、目先を変えた場所でなんとなく自然に展開されていき、ふーん、そーなんだと思っているうちに、いつの間にか読み終わってしまうという本当に凄く「敷居の低い法学入門」でした(笑)。
とくに高校の文化祭で、実写版「ウォーリーを探せ」展示をめぐる文化祭実行委員会とのバトルを通して、「法解釈」について語ってくれるエピソードは秀逸☆ これは、この本の対象読者層と思われる高校生や大学生にとっては、すごく身近に感じられる問題ではないでしょうか。
しかも各話ごとに、僕(キタムラ)が几帳面な字でまとめたノートが最後に示されるので、毎回きちんと復習も出来るようになっています。
法学部ってどんなことを勉強するんだろうと思っている方、法律っていったい何なんだろう?と疑問に思っている方は、ぜひ読んでみてください。