『考え方のコツ』2014/11/7
松浦弥太郎 (著)
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生活情報雑誌の『暮しの手帖』編集長が、日々の仕事と生活に、変化と成長をもたらす35のコツを教えてくれる本です。
『考え方のコツ』というタイトルですが、思考術だけでなく、コミュニケーションや時間管理のコツなど、仕事や生活に役立つさまざまな方法を惜しみなく教えてくれるので、のんびりした学生生活(?)を過ごした後、いきなり厳しい社会の現実に触れて、ビビッてしまっている新入社員の方には、特にお勧めしたい本です。
といっても著者は40代の管理職の方なので、新入社員の方より仕事時間を自分でコントロールする余裕があり、本書のコツの中には、新入社員の方がすぐに実行できないような方法も含まれているような気がしましたが(汗)、少なくとも今後の生き方の方向性を見つけることは出来るのではないかと思います。
さて、この本の構成は、「第一章 思考術」から始まり、「第二章 想像術」、「第三章 コミュニケーション術」、「第四章 時間管理術」と続き、最後は「第五章 グローバル術」となっています。
本のタイトル『考え方のコツ』と特に関係しているのは、第一章と第二章で、ここで重要とされているのは、「考える時間を確保し」、「知識ではなく自分の頭で考えること」です。
確かに「深く考える」ことは片手間では出来ないので、何か重要なことをよく考えるための時間を確保することはとても重要です。TVをつけながら、とか、家事をしながらでも「考える」ことは出来ますが、どうしても注意力が散漫になるだけでなく、散漫なまま(浅く)考える癖が身についてしまいます(汗)。重要なことを考える必要がある時は、きちんと時間を確保しましょう。
また、松浦さんは「思考を妨げるのは知識です」と言い切っていて、「知識なしに思考はできない」と考えていた私は、とても驚かされたのですが、その真意は、「知識そのものが悪いというのではなく、知識に考えの邪魔をされるということを忘れないようにせよ」ということのようです。
そういえば、最近はインターネットでさまざまな記事を簡単に検索できるので、なにか問題が出されると、すぐにネットで関連記事を検索し、他人の意見をそのまま自分の意見に取り込んでしまう……なんてことが容易に出来てしまいます。これを続けていると、いつの間にか「深く考える」力を失っていきそうな気がします。考えるベースになる知識は必要ですが、他の人の意見や知識をいったん棚上げにして、自分の頭で考えることは、とても重要だと思います。
ちなみに私は時々、なにか問題が起こったときに、「原始人だったら、どうするのかな」と考えてみることがあります。すると、原始時代にはなかったはずの慣習や儀礼的な事が、問題を(無駄に)複雑にしていることに気づき、解決できたことがありました。
また、この本の中で特に心に残ったのは、コミュニケーション術の中にあった次の文章(タイトル)でした。
「反論しないというセオリーを持つ」
人間関係のなかでは、なんとなく「合わない……」と思ってしまう人がいるものですが(汗)、そういう人と話す時には、ちょっと「かちん」とくることがあります(汗)。
でも、そんな時にイライラしてすぐに反論しても、良いことってほとんどないんですよね……。「反論」に返ってくるのは、たいてい「反発」で、結局、お互いにイヤな気持ちが残るだけの結果になることが多いような気がします。
この「反論しないというセオリーを持つ」ことは、特に若いうちは難しいと思いますが、「かちん」と来たときは、一呼吸して(ひょっとして、この人はそういう言い方の文化の中で育ったのかな。悪気があるわけではなく、この人には普通の言い方なのかも。かわいそうなやつ)と一度心の中で考えてみるようにすると良いかもしれません(笑)。
ただし一呼吸しても納得いかない時には、その人とは距離を置くか、時間をおいて「反論」するようにした方が良いと思います。自分が納得いかないことにいつも我慢し続けるのは、精神衛生上、良くないだけでなく、相手を無駄に増長させることを招く場合もあります。(もっとも、これは私の個人的な考えで、この本の著者の松浦さんは、「人に花をもたせる」ことが大切で、苦手な人にも挨拶しましょうと、あくまでも優しくおっしゃっていますが……。)
著者の考えのベースとなっている「仕事の最大の目的は社会の発展に寄与すること。そのためには「知ること」より「考えること」を“自分自身の新しい学び”として体得することが重要である」ということは、とても大切な指針になると思います。これを忘れずに、物質的には貧しくても(汗)、精神的に豊かに生きていきたいと思います。