『ビジョナリーカンパニー4 自分の意志で偉大になる』
ジム・コリンズ (著), モートン・ハンセン共著 (その他), 牧野洋 (翻訳)
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これまで「偉大な企業」「偉大な指導者」の条件を追究してきたコリンズさんが、今回は初めて外部環境を変数に入れ、不確実でカオスのような時代に他を圧倒して成長している偉大な企業7社を調査分析した本です。
この本ではそれを「10X型企業」と名付けています。10X型企業とは、同業よりも最低10倍以上のパフォーマンスを上げている企業だそうで、この本でも、前回までと同じように、その特徴を同業の有力企業と比較する「一対比較法」で鮮明に描き出しています。
10X型企業は、次の通りです(カッコ内は比較対象企業)。
・アムジェン(ジェネンテック)
・バイオメット(キルシュナー)
・インテル(アドバンスト・マイクロ・デバイス=AMD)
・マイクロソフト(アップル)
・フログレッシブ保険(セーフコ保険)
・サウスウエスト航空(パシフィック・サウスウエスト航空=PSA)
・ストライカー(米国外科コーポレーション=USSC)
なお今回は、調査期間が創業時から2002年までであったために、ジョブズ復帰後急回復したアップルは、マイクロソフトの比較対象企業となっていますが、この本の中では「第4章 銃撃に続いて大砲発射」で「アップルの復活」を補足しているそうです。
さて、「10X型企業」の特徴は、「10X型リーダー」、「二〇マイル行進(どんな状況でも同じように進む)」、「銃撃に続いて大砲発射(小さく試してから集中する)」、「SMaCレシピ(具体的で整然とした一貫レシピ)」、「運の利益率(幸運を活用する)」などだそうですが、なかでも「10X型リーダー」として例示された「南極征服を争ったアムンゼンとスコットの物語」と「エベレスト登頂」の二つがすごく印象に残りました。彼ら「10X型リーダー」は、「不可抗力に必ず直面する」「正確に先行きを予測できない」現実を受け入れ、準備をかかさず、規律と情熱をもって対処していく力をもっているようです。このエピソードを読むと、アムンゼンが勝利した理由がよく分かりました(勝たないわけがなかった、とすら思ってしまいました)。
個人的には、この『ビジョナリーカンパニー4 自分の意志で偉大になる』も、すごく参考になりました。この本のおかげで、『ビジョナリーカンパニー3 衰退の五段階』を読んだ時には分からなかった「危機的状況への対処法」すら教えてもらえたような気がします。というのも、この本は「不確実でカオスのような時代」に成長している企業の調査分析だからです。
特に「銃撃に続いて大砲発射(小さく試してから集中する)」は、不確実な時代への最良の対処法だと思いました。不確実な時代には、どの銃弾が命中するのか事前には分かりません。だから「10X型企業」は、標的に命中しない銃弾(低コスト)を大量に打つのだそうです。そして命中精度を調整してから、大砲(高コスト)などで集中攻撃を行うのだとか。なるほど……。
そして意外なことに、10X型企業は、比較対象企業よりもイノベーション志向であるとは限らないそうです。ただし、どんな環境下でも、脱落せずに競争し続けるために最低限達成しなければならない「イノベーションの閾値」はあるようですが……。
2016年の現在も、不確実な時代だと感じています。この本は、そんな時代でも成長を続けるための指針を与えてくれそうです。企業経営に興味のある方は、ぜひご一読ください。