『バーティミアス ソロモンの指輪』
ジョナサン・ストラウド (著), 金原瑞人 (翻訳), 松山美保 (翻訳)
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ソロモン王の時代に召還された妖霊(ジン)のバーティミアスが、国王暗殺をもくろむ少女戦士とともに大奮闘するファンタジー・アドベンチャー。
あの『バーティミアス』にまた会えます☆ といっても、これはずーーっと昔の時代(今から約3000年前)の物語。なんとソロモン王の時代の話です。2000歳ぐらいの若い(?)バーティミアスが大活躍します。
今回も三冊ですが、前回よりずっと薄い(約250ページずつ)です。ただし前回のようにどれか一冊だけ読んでも楽しめるということはなく、三冊で一つの物語になっています(実は原書は一冊だそうです)ので、三冊全部を順番に読む必要があります。
今回のお話では、ロンドンを舞台に暴れ回った時に『バーティミアス』が自慢していた「ソロモン王と直接話したこともある」という話が、実際はどんな内容だったのかが明かされます。とても楽しい(?)ソロモン王暗殺アドベンチャー。今回は、人間よりも妖霊が大活躍します。あの『バーティミアス』の因縁の相手(宿敵?)フェイキアールも登場します(笑)。
魔術師たちを従え強大な力を持つソロモン王に、バーティミアスと少女戦士はどう戦いを挑むのでしょうか。そしてその結末は……。
バーティミアスと少女の若い(?)コンビらしく、面白くて、読後感も爽やかなファンタジー・アドベンチャーです。
(※ここから先は、物語の核心にふれるネタバレを含みますので、結末を知りたくない方は読み飛ばしてください)
前回の『バーティミアス』三部作で、すっかりバーティミアスのファンになったのですが……、今回の物語冒頭で、いきなり主人の狡い魔術師を……うっ……たとえ「いい奴」だと思っていても、やっぱり妖霊(ジン)とは友達になれないかも。まあ、しょうがないんだけどね、人間も彼らの食料の一つだから……。
気を取り直して先に進むと、いよいよソロモン王の登場。でも……ソロモン王って、悪い奴だったっけ? ソロモンというと「知恵のある素晴らしい王様」というイメージだったけど。そして、あのソロモンの指輪も「動物と話が出来る」だけでなく、実は悪魔を使役する力があったのですね。
この物語では、ソロモン王は妖霊の軍隊を呼び寄せることが出来る「指輪」の圧倒的魔力で、邪悪な有力魔術師たちを従え、周囲の人々に無理難題を押し付けていました。そして、すでに大勢の妻がいるにもかかわらず、シバの女王に求婚し、それを断ると貢物を要求してきたのです。シバの女王は、凄腕近衛兵の少女戦士アズマイラを呼んで、密かにソロモン王の暗殺と指輪の奪取を命じました。
このアズマイラが、とても可愛くて正義感に溢れていて、有能なのに自信がない感じもあって、でも、死を覚悟しているので無鉄砲でもあって……と、すごく好感の持てるキャラなのです(残念ながら真面目一方で、ユーモアはあまりないのですが)。そして……もちろんバーティミアスと出会って、ソロモン王の暗殺と指輪の奪取の手助けをさせることになります。
ところで、今回のバーティミアスは、すごくディズニーの『アラジン』に出て来るジンっぽいです。ランプではなく、透明なビンに閉じ込められたりもします(笑)。
でも今回の相手は、バーティミアスが太刀打ちできる相手ではありません。ソロモン王配下の魔術師が操るマリッドにすら叶わないのに、ソロモン王の指輪が呼び出す悪魔たちに勝てるはずもありません。
少女戦士の勇気と熱意、バーティミアスの機知と機転で、シバの女王からの使命を果たすことが出来るのでしょうか……。
今回も、とても面白い物語です。また、今回の時代設定は3000年も前なので、もちろん前回の『バーティミアス』三部作を読んでいなくても、大丈夫です(というより、今回は、冒頭に「魔術師と妖霊について」という豆知識記事があるので、『バーティミアス』世界へは、この本の方がむしろ入りやすいかもしれません)。