『デルトラ・クエスト』
エミリー ロッダ (著)
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7つの宝石が、国を、そして周辺諸国を守るデルトラ王国。その7つの宝石が影の大王に奪われ、若い国王が行方不明に……。デルトラを救うため、鍛冶屋の息子、リーフが冒険の旅に出ます。はたして彼は宝石を見つけ、影の大王を滅ぼすことができるのでしょうか?……という、人気ゲーム「ドラゴン・クエスト」のような冒険ファンタジー。全8巻+番外編とすごく長いのですが、とてもスリリングで面白いので、あっと言う間に読めてしまいます。
(※ここから先は、物語の核心にふれるネタバレを含みますので、結末を知りたくない方は読み飛ばしてください)
物語は、深夜のデルトラ城で、王様が亡くなった場面から始まります。まだ若い王子が世継ぎすることになり、国を守る伝説の7つの宝石のついたデルトラ・ベルトが、王位継承者の証として、その腰に巻かれます。その瞬間、七つの宝石が目のくらむような光を放ち、若いエンドン王は、王の証を魔法のベルトによって認められたのでした(正しい血筋のものだけが、ベルトを輝かせることができるのです)。儀式は無事終わり、ベルトは城の塔の最上階に戻されます。
その夜、エンドンの親友のジャードは、秘宝のベルトについて書かれた本を図書室で探しだし、秘宝のベルトは、本来、王位継承者がつねに身につけていなければならなかったことを知ります。ジャードはエンドンにそう進言しますが、首席顧問官のプランディンによって、王をたぶらかす裏切り者とみなされ、城外に追放されてしまいます。
そしてジャードは豊かだと信じていたデルトラ王国が、実はとても貧しく、人々は国王を信じていないことを初めて知りました。はるか昔、秘宝のベルトの力で追い払ったはずの影の大王が力を増していたのです。ジャードは、エンドンがいつか自分を頼ってくる日をじっと待つことにしました。そして……。
こうして壮大な冒険ファンタジーが幕を開けます。
この場合、普通は、若者のジャードとエンドンが主人公になって冒険をするのではないかと思いますが(汗)、なんとデルトラを救う旅をするのは、その息子たちです。
でも考えてみると、この方がずっと現実的です。デルトラの王を追放し、秘宝の宝石をばらばらにして闇の場所に隠してしまうほど力を盛り返してきた影の大王が、その狡猾な陰謀で秘かに力を削り取ってきた王家の軟弱な若者たちなんかに、あっという間に逆襲されるはずありませんよね(汗)。普通のファンタジーだと、追放された若者たちは、猛特訓して短期間のうちに信じられないほど力をつけ、秘かに仲間を集めて秘宝を次々取り返し、影の大王によって廃業させられた名鍛冶屋を探し当ててベルトを修理してもらい、数年で反撃(ブラック企業顔負けの何連徹夜の猛攻)、なんていう流れになるわけですが、そんなに簡単なわけがありません(笑)。本当の戦いは、もっと時間がかかるはずです。
……そして冒険の果て、最終巻で次々に明かされていく意外な事実。読み進めていくうちに、(ああ、そうだったのか!)と、巧みな伏線に気づかされます。はらはら・わくわくさせられる、とても面白いファンタジーです☆
なおシリーズ全8巻の他、続編の『デルトラ・クエスト2(全3巻)』、『デルトラ・クエスト3(全4巻)』と、外伝の『デルトラ・クエスト モンスターブック』、『デルトラ・クエスト オフィシャル ガイドブック』、『デルトラの伝説』、『デルトラ王国探検記』があります。