『ダレン・シャン イン ジャパン』
ダレン シャン (著), 田口 智子 (イラスト), 西本 かおる (翻訳)
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『ダレン・シャン』の著者のシャンさんが、数回日本を訪れた時に書き下ろした中短編2編と、エッセイ1編を収録した作品集です。『ダレン・シャン』という名前がついていますが、あの『ダレン・シャン』の外伝ではなく、日本の子供が主人公の短編ですので、お間違いなく。(小説『ダレン・シャン』に出て来るキャラクターは出てきません。)
この本も一応、児童文学なのですが、大人が読んでもとても興味深いと思います。というのは、まえがきで、この本に収録されている短編をどう着想したのかを紹介してくれるからです。さらにエッセイでは、日本の恐山で、『デモナータ』全10巻の重要なイメージを構想したことを明かしてくれます。
東京でのイベントに出るために来日したシャンさんは、日本が気に入って、大都会ではない田舎の雰囲気が味わいたいと思ったそうです。それで選んだ先が……あの「霊山」!(怪奇ファンタジー作家らしいですね)。
ということで「羽黒山」、「高野山」、「恐山」を訪れた著者の紀行文がのっているのですが、これが(外人目線で見た不思議の国、日本)って感じで、とても楽しく、参考にもなります☆
しかも訪日の時の写真もたくさん載っていて、シャンさんの姿も見られます。想像していたのとはちょっと違って、健康優良児がすくすく育って大人になったような感じ。半バンパイアの姿を想像できませんが……えーと……ならなかったんですよね?(笑)。
日本という外国に気をつかってくれたのか、この本の短編の主人公たちはかなり真面目な性格になっています。でも精霊や亡霊との対峙の仕方は、いつも通りで、期待を裏切りません。
「ハグロサン」で少年に授けられる銀貨は、シャンさんにとっては小説の着想という形で現れてくるのかも。「コーヤサン」の少女の最終対決も、それに近いものがあります。なんとなく、千夜一夜を思い出しました……。
コーヤサンという女の子の名前とか、彼女がスカートのポケットに入れているものに違和感がなくもないですが(笑)、全体を通して、シャンさんの優しさと真面目さが感じられる本でした。短編を楽しむだけでなく、旅で得た着想が、物語としてどう紡ぎだされていくのかも感じることが出来るので、お勧めです☆