『サイバーセキュリティ2020 脅威の近未来予測 (NextPublishing) 』
特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA) 未来予測プロジェクト (編集)
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5年後の2020年にどんなサイバー状況になっているのかを予測した本です。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年の生活を、ドラマ(物語)として表現してくれているので、IT素人でも分かりやすく、身近に感じられる内容です。
「サイバーセキュリティ」というと、「自分にも無関係ではないから、知っておかなくちゃ……」と焦りを感じつつも、関連する本を読むと、犯罪の事例内容だけでなく、専門用語の羅列にも背筋が凍るという人でも(汗)、すごく気楽に読むことが出来る本だと思います。
「Scene: 2020年の生活はこうなる!」の「スマート家電のある暮らし」では、材料を入れるだけで基本的な調理を半自動で進めてくれるという「フードプロセッサー」に、「いいなあー」と思ってしまいました(笑)。
また、「オリンピック観戦もデジタル化」では、2020年の東京オリンピックを観戦にきた外国人がメガネ形の透過型ディスプレイ(HMD)を活用して、観光・観戦を楽しむ様子が描かれていて……本当に、こんな風にうまくいくといいですね(汗)。そして充電は、死活問題になっていくかも。
もちろん良いことばかりではなく、「学校外につくられる子どもの世界」でのサイバー・イジメ(?)や「狙われる新規事業」など、怖い話もあります。
「学校外につくられる子どもの世界」は、2020年には3割の小中学生が自宅学習をしているという設定で、SNSでのイジメ問題を取り扱ったものです。もしも自宅学習をしているなら、社会性を身につけるためにも、少なくともSNSには参加させるだと思いますが、そこでもイジメ問題はやはり発生するのでしょう。……というよりも、むしろイジメにどう対処するかを学ばせることも「社会性を学ぶ」一つだと思います。この問題は社会的にもとても重要だと思うので、今後も考え続けていきたいと感じました。
そして、なんか嫌な感じだなーと思ったのは、「Interview: 識者が予想するプライバシーの未来」の中の「顔がポイントカード化した世界」。防犯カメラと顔認証で、いつ何を買ったとか、何を見つめていたかとか、どこをどんな風に歩いていたか等が履歴として残っていく世界は……なんか悪夢のようです。飛行場や駅などで、テロリストや犯罪者を早期発見するために顔認証されるのは受け入れられますが、普通のショップなどでも行われるようになると思うと……あまり嬉しくないですね……(汗)。それでも防犯カメラは犯罪の抑止に役立っていると感じているので、公共の場にあるなら、一応、受け入れたいと思いますが……迷うところです。
ところで、サイバーセキュリティと便利さは、相反する面も多いと感じます。個人的には、ある程度便利さを犠牲にしても、セキュリティを優先させたいと思っています。セキュリティは「物理的に遮断」が最も簡単で効果的なので、PCのネット接続も、物理的に切断できるスイッチがあると良いなと思います(無線LANについては、ON/OFFスイッチのある機種があります)。またWebカメラも、遠隔操作での盗撮が心配なので、カメラのレンズを開け閉め出来る「窓」があると良いのに、と思います。
それはともかく、この本は、ドラマ形式で具体的シーンを予測してくれるので、サイバーセキュリティや近未来のICT社会を、自分の問題として考えやすいと思います。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
なお、この本は「オンデマンド (ペーパーバック)」で読んだのですが、普通の本とまったく同じ感じでした(「白書」みたいな感じで、表紙が安っぽいですが……)。