『星の王子さま』
サン=テグジュペリ (著), Antoine de Saint‐Exup´ery (原著)
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砂漠に飛行機で不時着した「僕」が、いくつかの星を旅してきた男の子、星の王子さまと出会う物語です☆
とても有名な作品なので、物語の中でキツネが王子さまに教える「Le plus important est invisible(大切なものは、目に見えない)」という有名な言葉を知っている方も多いのではないでしょうか。
この本は子供向けの本のようですが、実は大人の方が、より深く味わえるのではないかと思います。「大切なものは、目に見えない」を始め、作中に、「生命とは」「愛とは」という人生の重要な問題への答えを示唆するさまざまな文章を見つけることが出来るからです。
また、作者のサン=テグジュペリさんが、リビア砂漠での飛行機墜落事故の体験していることや、フランス軍の飛行中隊長としてコルシカ島の沖合を偵察中に行方不明になってしまったこと、第二次世界大戦中の亡命中に、故国にいる親友を思って書いたのがこの『星の王子さま』だということを知ってから読み直すと、作中に込められた思いをより深く(重く)受け止められるような気がします。
子供の頃に読んだ時には、とてもファンタジックで美しい詩のような不思議な物語だと単純に感じただけでしたが、大人になって再び読み直してみると、ほろ苦い人生や愛への悲しみのようなものが、飛行士と王子さまの出会う砂漠の地下に、見えない水のように潜んでいるような気がします。
(※ここから先は、物語の核心にふれるネタバレを含みますので、結末を知りたくない方は読み飛ばしてください)
王子さまが旅してきた6つの星(小惑星)には、「自分の体面を保つことに汲々とする王」、「賞賛の言葉しか耳に入らない自惚れ屋」、「酒を飲む事を恥じ、それを忘れるために酒を飲む呑み助」、「夜空の星の所有権を主張し、その数の勘定に日々を費やす実業家」、「1分に1回自転するため、1分ごとにガス灯の点火や消火を行なっている点燈夫」、「自分の机を離れたこともないという地理学者」がそれぞれ住んでいて、子供の頃に読んだ時には、ヘンテコな人たちだなあ(単純な笑いの対象)という認識しかありませんでしたが、大人になった今では、彼らの頑迷な愚かさに、自省まじりの苦笑をしてしまっています(汗)。
星の王子さまは、七番目の星、地球で、美しいバラがたくさん咲いているのを見て、大切にしてきた自分の星の一輪だけのバラが、実はありきたりのものに過ぎなかったことを悟って泣きます。でもその時に出会ったキツネに、「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えない。大切なものは、目に見えないんだよ」と教えられ、「あのバラを大切に思っているのは、そのバラの面倒をみたからだ」と指摘されます(うーん、含蓄のある言葉だ……)。
こんな話を飛行士に話した後、王子さまは姿を消す(星へと戻っていく)のですが、子供の頃は、(王子さまの星って、戻っていくに値する星なのかなあ? 小さくて穴だらけで、我儘なバラが一本で、バオバブを抜かなきゃいけなくて……)と思っていましたが、今となっては、王子さまには、星への懐かしさだけでなく、責任感めいた重い気持ちもあったのだろうと感じています。
この星のどこかで、砂漠で出会った星の王子さまが笑っている――今夜は、夜空の星がいつもと違って見えてくるでしょうか。