『たのしい川べ』
ケネス・グレーアム (著), E.H.シェパード (イラスト), Kenneth Grahame (原著)
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心やさしい愉快な仲間たちと一緒に、まきこまれていく楽しい冒険☆ お人よしで機転のきくねずみさん、おとなしいのにちょっと無鉄砲なモグラくん、わがままで陽気で好奇心旺盛なヒキガエルくん、静かだけど頼りになるアナグマさん……楽しい隣人たちが、静かな川べや豊かな森で、素朴な暮らしと冒険を繰り広げていきます。
章ごとに、短い事件が起こっては完結しながら、同じ登場人物で続いていく連続ドラマのような構成なので、読んでいても飽きません。
この物語は、もともとはケネス・グレーアムさんが、大泣きしている幼い息子をあやすために作った話がもとになっているそうです。この作話は三年間も続けられたのですが、口からでまかせの話は首尾一貫していなくて、物語の形にまとめあげるまで、かなりの努力がはらわれたとか。そう考えると、物語の登場時には「お人よしの賢人」だった川ねずみさんが、最終話では「慎重さが空回り」した感じになっていたり、登場時には「おとなしいが考えの足りないところのある」モグラくんが、最終話では「機転のきく勇敢な」感じに変わっていたり(成長したのかもしれませんが……)と、キャラクター性格が少しちぐはぐになっているのも、納得ができるような気がします。
そういう気になる点もありますが、川や森の描写の美しさや、キャラクター造形の素晴らしさがとても見事で、読んでいるうちに、ぐんぐん引き込まれてしまいます。
なかでも秀逸なのはヒキガエルくんの冒険! このヒキガエルくんが登場すると、物語がぐんと魅力的に☆ その、きまぐれな熱中っぷり・能天気な自信過剰・いたずらな悪がしこさに、それまで緑と水色で染められていた穏やかな田園の世界が、ふいに、原色の赤や黄色をぎらぎら混ぜた感じに輝き始めます。
大きなお屋敷に住む、川べで一番の大金持ちなのに、周囲の動物たちから、「やつをなんとかしてやらなくちゃいけない」と思われているヒキガエル君。その無鉄砲っぷりが災いして、結局、牢屋に叩き込まれることになり、その留守に、自慢のお屋敷がイタチに乗っ取られてしまうのですが……いったい彼はどうやってこの窮地を切り抜けていくのでしょうか? くすくす笑わずにはいられない愉快な展開をぜひ自分の目でたしかめてください☆