『モロッコへ行こう―ダヤンのスケッチ紀行 (中公文庫) 』
池田 あきこ (著)
池田あきこさんのモロッコでのスケッチ紀行です☆ これは、絵本や児童書ではありませんが、イラスト満載の本(カラーのスケッチ紀行第一弾)なので、ここで紹介させていただきます。
旅の商人になるという壮大な構想のもと、旅に出るときはいつもスケッチブックと画材を持っていくという池田さんが、アラブとアフリカの混ざったような国、モロッコを旅しました。……妹さんとの二人旅だったようですが、これが驚くほどフリーダムな旅! お父様が国鉄マンだったそうで、小さいころから旅慣れていたとはいえ、モロッコのような異国の地をこんなに気ままに旅できるとは……その度胸に、びっくりです。
しかもあえて大都市やリゾート地を避けて、より色濃く地中海特有の迷宮感のある古い都市フェズとマラケシュ、さらにアトラス山脈を越えてサハラ砂漠まで! ということなので、ありきたりなガイドブックにはない興味深い情報満載です。
羊の肉などを売っているアスニィのマーケットで温かく甘いミントティーを飲んだり、カスバ街道を抜けてサハラ砂漠でラクダに乗ったりと、興味深い旅の様子がいきいきとイラストで綴られていて、とっても面白い☆
そして極めつけは、迷宮都市のフェズ。狭い路地の市をめぐって、職人の手仕事に感心し、革屋の屋上から作業を眺めて……その情景が目に浮かんできそうなスケッチを見ていると、きっとこれがダヤンの住む街のイメージ作りにも活かされていったんだろうな、と想像してしまいます。
タジンの作り方、ターバンの巻き方、ラクダの乗り方のコツなども参考になる(笑)、とても「濃い」モロッコのスケッチ紀行でした☆