『新版 宿題ひきうけ株式会社 (新・名作の愛蔵版) 』
古田 足日 (著), 長野 ヒデ子 (イラスト)
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小学五年生の子どもたちが、宿題ひきうけ株式会社を作ることで、さまざまな問題を自分の頭で考え始める物語です☆
宿題ひきうけ株式会社か、いいなあ……と、タイトルを見てすぐに思ってしまいました(汗)が、よく考えると、たぶん実際には宿題を頼まなかっただろうなあと考え直しました。子どもの頃から「宿題をやるのは自分のため」と内心では分かっていたからです。
……それはともかく、この物語でタケシたち6人は、お金をもらってかわりに宿題をやってあげる“宿題ひきうけ株式会社”をつくりました。それを始めた理由は、なんと、勉強をしないで先生にしかられていたテルくんが、一千万の契約金でプロ野球に入ったから(!)。大学を出て就職したお姉さんの月給が二万五千円なのにです(注:この物語は1966年の旧版の一部を訂正したものなので、その時代背景から、物価は今よりかなり低くなっています)。
(※ここから先は、物語の核心にふれるネタバレを含みますので、結末を知りたくない方は読み飛ばしてください)
なんだか勉強する気がなくなった子どもたちは、てっとり早く儲けることを考えて、宿題ひきうけ株式会社を作ることにしたのですが、これが驚くほどちゃんとした会社で、宿題をやる係や注文を取る係の分担の仕方とか、儲けの分配の仕方とかを、みんなで話し合って決めるのです。このあたりの子どもたちの会話は、すごく面白いのに、大人でも考えさせられることが多くて、「面白くて、ためになる話」って、本当にあるんだなあ☆ と感心させられました。
この宿題ひきうけ株式会社の話が第一章で、第二章では、タケシたちは「やばん」というキーワードで、昔と今、そして未来を考えていきます。今より昔が、そして未来より今が本当に野蛮なのか? 自分たちの住む場所の過去はどうなっていたのか、未来はどうなっていくのか? ……この章の終盤の担任の三宮先生の(友達の)言葉、「待っていても未来はこない。ほうっておけば、くるのはいまのつづきだけだよ」が、とても印象的でした。
そして最終章の第三章は、小学生新聞の記者として、いじめ問題に取り組む「進め!ぼくらの海賊旗」。小学生の社会的な行動としては、行き過ぎのような気もしました(汗)が、これまでのさまざまな問題に真正面から取り組んできたタケシと仲間たちなら、きっとこれからも正しい方向へ進んでいってくれるものと思います。
物語のなかでタケシたちが真剣に考えるさまざまな問題。実際には解決が難しい問題も多いのですが、これを機会に、自分の頭で真剣に考えてみるということが大切だと感じさせられました。