『ドラッカー名著集1 経営者の条件』
P.F.ドラッカー (著)
150423013AP01N
経営思想家のドラッカーさんが、業績をあげるために、知識労働者が自分自身をマネジメントする方法について教えてくれる本です。
この本のタイトルは『経営者の条件』となっていますが、実は、経営者だけでなく、すべての知識労働者に向けて書いたそうです。
さて、知識労働者の仕事は、知識・アイデア・情報を生み出すことで、それが他の人に利用されてはじめて成果をもたらすものです。そしてこれらの成果をあげることは、習慣的な能力の集積で練習により修得可能だとドラッカーさんは言っています。
その身につけるべき習慣的能力には、次のような5つがあるそうです。
1)何に時間をとられているかを知り、残された時間を体系的に管理する。
2)外部世界への貢献に焦点をあてる。仕事の過程でなく成果に精力を向ける。
3)強みを基準に据える。弱みを基盤にしてはならない。
4)成果をあげる領域に力を集中する(優先順位を決めたもの一つに集中する)。
5)成果をあげるよう意思決定する。成果をあげる意思決定は、過去の事実への合意ではなく、未来への異なる意見に基づいて行う。
続いて、これらの習慣について具体的に詳細に解説しています。
このなかで身にしみて感じたのは、「汝の時間を知れ」の中の、「成果をあげるためには、時間を細切れではなく、かなり大きなまとまりとして使う」という話。なるほど確かに、満足できる仕事ができる時って、何かに中断されない、まとまった時間があった時だけだなあ、と思いました。
また、とても参考になったのは、「強みを生かせ」の章の、「人事の決定においては、人間の弱みを最小限に抑えるのではなく、強みを最大限に発揮させなければならない」ということ。
例えば、人事考課は、まず過去と現在の職務で期待されるべき貢献と目標について実際の成果を記録し、次の4点から評価すると良いそうです。(1)よくやった仕事は何か、2)よくできそうな仕事は何か、3)強みを発揮するためには、何を知り何を身につけなければならないか、4)彼の下で自分の子供を働かせるか(そうであるなら何故か・そうでないなら何故か)。……この4番目の点は、その人の人間性を総合的に(直感的に)評価するのに、すごく役に立ちそうです。
とにかく参考になることがいっぱい。論旨もとても明快で具体的なので、分かりやすいと思います。