『魔女の宅急便 (福音館創作童話シリーズ)』
角野 栄子 (著), 林 明子 (イラスト)
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13歳の魔女キキが、はじめて訪れた海辺の町・コリコで始めた仕事は、空飛ぶ宅急便屋さん。彼女が、相棒の黒猫ジジとともに、仕事や周囲の人々との交流を通して成長していく1年を描いた物語です。
この『魔女の宅急便』は、ジブリの名作アニメ『魔女の宅急便』の原作として有名で、実は私もこのアニメを見てから原作を読んだのですが、アニメはもちろんのこと、この原作もとても素晴らしい作品でした。
アニメは原作の雰囲気をとてもよく表現していますが、内容は原作を忠実に再現したものではなく、かなり違ったものになっています。原作の『魔女の宅急便』は、短いエピソードの連続なのですが、アニメの方は、そのエピソードの一部分を使って再編成するような感じで、新しい話を作り上げているのです。
つまり、すでにアニメを見ている方でも、まったく新しい気分で、この原作の『魔女の宅急便』も楽しめます。というか……アニメのあの可愛いキキやジジ、とんぼが、心の中で、いきいきと新しいエピソードで動き始めるような感じがするので……さらに楽しめるような気がします(笑)。
例えば、アニメの重要なシーンで出てきたあの時計塔は、原作では違うエピソードで登場します。この宅急便の仕事の途中で、お気に入りの腹巻をなくしたとヘコんでいるジジに、キキが言う「あたしたちの運んだもの」……とても素敵でした。
そして、アニメのキキはかなり真面目な感じの女の子でしたが、原作の方では、かなりお茶目で豪快な性格をしているような気がします。列車から楽器をおろし忘れたという音楽家たちのために、キキとジジが列車で繰り広げる冒険活劇! この命がけの仕事でキキが得た報酬とは……? とても、わくわくさせられるお話でした☆
物語の最後は、この1年の修行(?)の後、里帰りしたキキが、再び港町に戻ってくるシーン。

「ほら、あたしたちの町よ」
キキは指さして叫びました。

この後のページをめくって……上空から眺める海辺の町・コリコが、実際に目の前に広がったとき、思わず(キキになりきって)胸がいっぱいになりました☆