『和書:ポップアップ・デザイナー入門: ペーパー・エンジニアリングのテクニック』
キース・フィンチ (著), 五十嵐 友子 (翻訳)

『洋書:Paper Engineering for Designers: Pop-Up Skills and Techniques(英語)』
Keith Finch (著)
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自分で作る「しかけ絵本の作り方」の本です。
V字折や平行折などのしかけが、一部はすでに見本として作られてページに貼りつけてあるのですが、大部分のしかけは、本のページの部品(ミシン目が入っているので手で切り取れます)を切り取って、自分で組み立ててページに貼りつける必要があります。そうすることで初めて、この『ポップアップ・デザイナー入門(Paper Engineering for Designers)』が完成します(部品はページの左右端を切り取って作ります。折り線に沿って折ってから貼りつけます)。
本の裏表紙(最初のページ)には、完成済の大きな仕掛けがあり、よく見ると、「飛び出し」や「プルタブによる回転」など、さまざまなしかけ技法が駆使されていることが分かります。
しかけ技法に興味がある人にとっては、自分で組み立てることで実践的な技術が身につくだけでなく、完成後は参考書として活用できるので、とても素晴らしい本なのですが、残念なことに、組み立て説明の一部が間違っている場合があり、そのまま組み立ててしまうと、きちんとしたしかけが出来上がらないことがあるので、注意が必要です。現時点では、日本語版『ポップアップ・デザイナー入門(2014/11/6)』、英語版『Paper Engineering for Designers(2013/11/4)』とも、型紙の記号や説明に間違いが多数あり、切り目も不足していることがありますので、初心者向けの入門書とはとても言えないと思います(汗)。なお、日本語版は、英語版に比べると一部の間違いが訂正されているようですが、全部ではありませんので、やはり組み立て時に「間違いがあるかもしれない」と考えて組み立てる必要があります(ただし、今後、出版社が訂正版を出すかもしれないので、みなさんが購入した本では、説明書通りに組み立てられるようになっている可能性もありますが……)。
間違いは、「E1とE2の記号番号が逆」、「山折線と谷折線が違う」、「切線部分に切れ目が入っていない」、「部品の接着位置が違う」など多岐に渡っています。組み立て時には、次のことを考慮して組み立てましょう。
しかけ絵本の部品は、原則として「組み立てたものが、二つに折り畳めて、ページにきちんと収まる」ようになっているはずなので、部品を組み立てても、すぐページに貼らずに、まずは、きれいに二つ折に畳めるかどうかを確認し、畳めない場合は、説明か、E1などの記号のどちらかが間違っているのではないかと考えた方が良いでしょう。さらにその部品をページに貼る場合も、まずはページに置いてみて、貼った後にきれいにその部品ごとページを折り畳めるかを確認してから、実際に貼りつけるようにした方が安全だと思います(汗)。
また説明書通りにやってみて、部品自体が組み立てられない場合は、まず部品がどういう形になるのかを想像しましょう。四角い箱になるはずの部品が、山折線・谷折線が間違っているために、素直に組み立てると、箱にならないことがありました。また困ったことに、組み立て見本の写真と少し違うものになることもありました(鳩など)。さらに、組み立て後の見本すらないこともありましたので、想像力を駆使しましょう(汗)。
2014年11月時点では、このような(かなり大きな)問題がないわけではありませんが、しかけ技法に興味がある方には、この本はとても価値があると思います。なんといっても「自分で組み立てる」ことで実践的技術を身に着けられますし、類似の本の『実物で学ぶしかけ絵本の基礎知識』よりも、かなり複雑な技法も掲載されています。
本の最後には、バルーンのような球体を格子状に組み立てるしかけや、大きな飛び出ししかけを自分で作るカードがついているのですが、この格子状の大きな組み立てなどは、『実物で学ぶしかけ絵本の基礎知識』にはないものです(その最も原始的な形はありましたが)。これらを組み立てると、しかけ技法の理解が、ぐんと進むと思います☆
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組み立て後の各ページは、次のようになります。
・1~2ページ目:大きくて複雑な飛び出すしかけ(完成済)。右ページの左下につまみがあり、それを引くと回転するしかけもあります。
・3~4ページ目:基本的な道具とテクニックの説明。左右に、さまざまなサイズの円、四角形、六角形の切り取れる部品がついています(しかけなし)。
・5~6ページ目:V字折。左右に一つずつ小さなしかけ(完成済)がついていて、残り三つずつのしかけを自分でつくります。ページの中央にも、V字折を応用したハートと鳩のしかけを作ります。(本の裏表紙に見本があるのですが、説明通りに作ると、なぜか鳩の位置が違うものになりました。違ってもちゃんと動きますし、きちんとページに収まるので、問題はないのですが……汗)。
・7~8ページ目:進化したV字折。左右にはボックスやピラミッド型などより複雑な形のV字折を作り(左右に一つずつ完成品あり)、中央にはひねり立ちするしかけを作ります。
・9~10ページ目:平行折(左右に一つずつ完成品あり)。左側は単純な平行折で、右側は箱型や支柱になる平行折。中央には植物が飛び出す箱型しかけを作ります。
・11~12ページ目:サポートの基礎となる平行折。左は簡単なしかけ(一番上は部分的に完成済)。右は立体的なしかけ(一番上は完成品)。中央には上ぶたが閉じる箱のしかけを作ります。
・13~14ページ目:プルタブ。左右にさまざまなタイプのプルタブ型しかけを4つずつ作ります(完成品なし)。
・15~16ページ目:ピボット。左右にさまざまなタイプのピボット型しかけを3つずつ作ります(完成品なし)。
・17~18ページ目:円盤と模様が変わる窓。左にさまざまなタイプの円盤型しかけ2つ、右上に1つを作ります。右下に模様が変わる窓のしかけを1つ作ります(完成品なし)
・19~20ページ目:ポップアップをデザインする前に(解説)(しかけなし)。
・21~22ページ目:格子組の球体の組み立て説明。(しかけは別紙)
・23~24ページ目:クリエーティブなデザインのポップアップの組み立て説明。(しかけは別紙)別紙の大きなカードがついていて、そこにカラフルなお祭りのアーチと気球の飛び出ししかけを作って貼りつけます。完成後には、このカードは24ページに収納できるようになっています。前ページで作った格子組の球体(白)は、広げると単体で立体(気球)になるので、このお祭りアーチの好きな場所に配置して飾れますし、畳めば、カードに挟んで24ページに収納することも出来ます。この格子組の球体は、上下に互い違いに差し込んで組んだ後、2つのタブをスロットに差し込むことでロックされるという、作りやすいスマートな設計になっていて、とても参考になります☆
なお、『実物で学ぶしかけ絵本の基礎知識』とこの本のどちらを買おうか迷っている方には、まず『実物で学ぶしかけ絵本の基礎知識』を購入されることをお勧めします。完成済みのしかけの数も、解説も、より充実しているからです。この本は、『実物で学ぶしかけ絵本の基礎知識』を踏まえた上で、さらにステップアップする場合に活用するのが良いと思います。
また、日本語版の『ポップアップ・デザイナー入門』と、その原著の英語版『Paper Engineering for Designers』のどちらかを買おうか迷っている方には、日本語版をお勧めします。この本は解説が多いので、日本語版で読む方が安心ではないかと思うからです。また現時点では、どちらの本も間違いが多いので、英語版だけで間違いを修正して組み立てるのは……かなり困難ではないかと思います(汗)。