『むしくいさま(もうひとつの研究所パラパラブックス Vol.8)』
もうひとつの研究所 (著)
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パラパラとページをめくることで、幻想的な短編アニメーションが立ち現れるパラパラブックス・シリーズの虫の絵本です。
今回の絵本は、ちょっとレトロなマッチ箱のような箱に入っていて……、これはやっぱり「本の中に、あの虫を閉じ込めておく」ためなんですよね?(小声)
と、言うのは冗談ですが、『むしくいさま』では、小さな虫がもぞもぞ這いながら、だんだん本を食べていってしまいます☆ 虫の這った跡が、穴になって残っていくという発想がすごい。パラパラするたびに、本当に「本の虫」がむしくい穴を開けていくようです(本当にページに「穴」が開いています)。
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でも正直に言って、この本を初めて見た時には、「可愛くない……」と思ってしまいました(汗)。いつもの面白シュールなイラストと違って、なんか妙にリアルな虫だし。
するとNHKの朝のニュース番組で、この本が取り上げられました。この本、作るのに本当に苦労したそうです。手のひらに乗るような小さい本なのに、こんなに動きがリアルなのは、高い製本技術に支えられてこそ、だったのですね。パラパラ絵本は、サイズの割に価格が高いと思っていましたが、それにはちゃんと理由があったようです(汗)。
そう思って再度、この本を見ると、やっぱり凄い☆
パラパラめくるたびに、リアルに、律儀に、着実に、本が喰われていきます。むしくい跡がふらつく、なんて不埒な真似はしません。さすがは職人技だ……。
そしてこの本は、「むしくい」に感心させるだけで終わりはしません。ちゃんとストーリーが展開して、エンディング(?)を迎えます。
むしくいさま(むしくうさま?)が見たくて、何度もパラパラしてしまいますが、読み終えたら、きちんと箱にしまいましょう。パラパラするうちに広がりがちな本のページを押さえられますし、他の本を食べてしまわないよう、本の虫も閉じ込めておけますから(笑)。