『[改訂版]ヴァイオリン各駅停車 Guide to the Violin』2017/11/6
森元 志乃 (著)

 ヴァイオリンについて総合的に解説してくれる本で、内容は次の通りです。
1:■第1部: 楽器について
2:第1章 ヴァイオリンと弓、各部の名称
3:第2章 ヴァイオリンの形態
4:第3章 ヴァイオリンの構造
5:第4章 ヴァイオリン各部について
6:第5章 弓について
7:第6章 駒と弦
:第7章 顎当て、肩当て、楽器ケースと小物類
9:第8章 楽器を手にして
10:第9章 楽器の健康管理
:第10章 楽器の購入
12:■第2部: 演奏するにあたって
13:第1章 演奏姿勢
14:第2章 弓の持ち方と運弓
15:第3章 ボーイングの基本
16:第4章 左手の形と基礎
17:第5章 左手のテクニック
1:第6章 調弦
19:第7章 練習について
20:第8章 楽譜を読む
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 本体と弓の名称や構造から、楽器の構え方、弓の持ち方など、演奏の基礎、さらには楽譜についても解説してくれるのです。
 ヴァイオリンの初心者の方はもちろん、中上級者の方が復習するためにも、さらにはヴァイオリンを教えている方が初心者へどう伝えるかを考えるためにも参考になると思います。
「第1部: 楽器について」では、各部の名前だけでなく、弦の張り方、松脂の塗り方、ヴァイオリンの持ち方や弓の持ち方、演奏後のクリーニングの仕方など、ヴァイオリンについて知っておくべきことを総合的に解説してくれます。
 例えば松脂については、「うっかり松脂を忘れてしまったとき、近くにいたからといってチェロやコントラバスの友人から松脂を借用してはいけません。」と書いてありました。なんとヴァイオリンとチェロ、コントラバスの松脂は性質が違うそうです! そうだったんだ……知らなかった……。
 なお、本書では「肩当」についての解説で、イラストはすべてヴァイオリンの裏面に「右上がりの斜め」につけたものが描いてありました。が……他の本では、肩当は「ほぼ水平」につけるようにと書いてあったので、私自身はそのようにつけていました。でも、この本のようなつけ方をしている人もわりに多そうなので、どっちが正しいのかなーと不安になり、ネットで軽く調べてみたら、少なくともパッド型の肩当は「水平」の付け方が検索上位で出てきました。ちょっと迷いましたが、このつけ方に慣れているので、そのまま使うことにしました。肩当はヴァイオリンを安定させるために使うものなので、各自が使いやすい位置につければいいと思います。
「第2部: 演奏するにあたって」では、楽器を構える前の「足の幅や開き方」などの基本から教えてもらえます。
 ここでは音量について、次のように書いてありました。
「とにかく最初は、大きい音で弾くことが大事です。
 少々汚い音でも構いませんから、怖がらずに大きい音で弾きましょう。「大きくて、きれいな音」とりあえずのが目標です。
 小さい音で弾くと小綺麗な音がしますが、ヴァイオリンが鳴らなくなりますし、テクニックも身につきません。」
 ……うーん……うるさいんじゃないかと心配になって、なかなか大きな音は出しにくいのですが……やっぱり、そうですよね……。
 この他、右手や左手の動き、もちろん調弦方法についても解説があります。
 そして最後の「第8章 楽譜を読む」では、楽譜に書かれている「ヴァイオリンのための記号」に、「ボウイングマーク(アップとダウン)」、「指番号」の他、「ボウイングマーク(弓のどの位置で弾くか)」があることを知りました。この「ボウイングマーク(弓のどの位置で弾くか)」は、Sp.(先弓)、M.(中弓)、Fr.(元弓)などのように指定されているそうです。……そこまで指定されている楽譜があるんですね、知りませんでした。
 ヴァイオリンについて総合的に解説してくれる本でした。練習曲はほとんどないので、練習用の本ではなく、練習のための副読本という感じです。でも、これが一冊あると、練習中に浮かんだ疑問が、ある程度は自己解決できそう。とても参考になるので、ヴァイオリンを練習している方は、ぜひ一度眺めてみてください。お勧めです☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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