『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』2019/4/1
ロルフ・ドベリ (著), 安原実津 (翻訳)

 この複雑な世界を生き抜くためには、どうしたらいいのか……心理学、行動経済学、哲学、投資家や起業家の教えをまとめた、未来が変わる「52の考え方」です。
 考え方の一例をあげると、以下の通りです。
1)考えるより、行動しよう――「思考の飽和点」に達する前に始める
4)支払いを先にしよう――わざと「心の錯覚」を起こす
6)戦略的に「頑固」になろう――「宣誓」することの強さを知る
13)ものごとを全体的にとらえよう――特定の要素だけを過大評価しない
14)買い物は控えめにしよう――「モノ」より「経験」にお金を使ったほうがいい理由
16)自分の向き不向きの境目をはっきりさせよう――「能力の輪」をつくる
17)静かな生活を大事にしよう――冒険好きな人より、退屈な人のほうが成功する
31)性急に意見を述べるのはやめよう――意見がないほうが人生がよくなる理由
37)読書の仕方を変えてみよう――読書効果を最大限に引き出す方法
39)「心の引き算」をしよう――自分の幸せに気づくための戦略
46)組織に属さない人たちと交流を持とう――組織外の友人がもたらしてくれるもの
48)本当に価値のあるものを見極めよう――あらゆるものの90パーセントは無駄である な
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 こんな感じで、全部で52の心構えを教えてもらえます。
 個人的にとても参考になったのは、「2)なんでも柔軟に修正しよう――完璧な条件設定が存在しないわけ」の次のような文章。
「物事がうまく運ぶことなどほとんどない。人生は常に乱気流の中にあって、私たちはありとあらゆる種類の横風や、予想外の急激な天候の変化と闘わねばならないのだ。それなのに私たちは浅はかにも、晴天の空を飛びつづけるパイロットのようにふるまっている。最初の条件設定ばかりを重視し、修正の意義を軽んじすぎている。」
「重要なのは、「スタート」ではなく、「離陸直後からの修正」技術だということだ。」
「経験から言えば、よい人生とは「一定の決まった状態を指す」と思っている人が多い。それが間違いなのだ。よい人生とは「修正をくり返した後に、初めて手に入れられるもの」なのだから。」
 ……確かに、そうだなーと思わされました。「計画」したことがその通りにいかないと、どうしても精神的ストレスが溜まってきてしまいますが、「修正しながら行動することが当たり前」なのだと最初から思っていれば、「計画」したゴールを目指しながらも、常に状況に合わせて修正し、最終的にゴールへ(あるいは別のゴールでも)たどり着くための前向きな努力ができると思います。むしろその方が、豊かな人生になりそうな気がします。
 ……という感じで、最初のうちは、「うんうん、良いこと言うなあ」という気持ちで読んでいたのですが、「ん?」と思ってしまったのが、「8)必要なテクノロジー以外は持たない――それは時間の短縮か?浪費か?」。
「テクノロジーについては、「それは本当に便利なのか」を厳密に考えるべき」という教えで、「無料のEメールは迷惑メールを送ってくるので選別に時間がかかるし、パソコン・通信費などの機器代もかかるので、実はコストは従来の手紙と変わらない」とか、「パワーポイントの登場はプレゼンの見栄えを良くしたが、内容ではなく見掛けを良くするための作業時間が増え、むしろ生産的でなくなった」という指摘です。
 これらには納得できる部分もありますが、なんとなく「エネルギーレベルがすっかり下がって、テクノロジーの習得に時間がかかるお爺ちゃんの意見では?」という疑いも抱いてしまいました(汗……失礼で申し訳ない)。私がIT好きのせいかもしれませんが、人類はこれまでも常に技術的進歩をめざして歩いてきたのだし、技術的進歩については、批判する前に「まず理解しようとする態度(使ってみようとする態度)」こそが、現代人にとって必要な心構えではないでしょうか。個人的には、老人になっても、がむしゃらに「新しもの好き」でい続けたいと思っています。
 ……そしていったん、このような「お爺様からのありがたいお言葉」感を抱いてしまった後は、「うーん、確かに、ごもっともではあるけど……」という気持ちが優先してしまい、読んでいても、だんだんテンションが下がってしまったのでした……(汗)。
 それでも全体を通してみると、やっぱり「世の中をよく見て知っている、尊敬できるお爺様からの、実際に役に立つ処世術の話」だったと思います。要するに、テンションはあがらないけれど聞いて無駄にはならない感じ、ですね(笑)。解決できない悩みに陥ってしまった時には、この本を読み直すと、何かヒントを見出せるかもしれないという気がします。……ということで、残念ながら、この本の52の教えのすべてが役に立つと思ったわけではありませんが、かなり多くの「役に立つ心構え」を教えてくれる本だったと思います。「よりよい人生を送りたい」と思っている方は、ぜひ読んでみてください。きっと何か「参考になる考え」を見つけることが出来るでしょう。
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