『洞窟の疑問30 ー探検から観光、潜む生物まで、のぞきたくなる道の世界ー (みんなが知りたいシリーズ7) 』2018/2/9
伊藤田直史 (著)、後藤 聡 (著)、日本洞窟学会 (監修)

洞窟の定義や種類、有名な観光洞窟、洞窟の生成方法、洞窟内に見られる鍾乳石や生息する生物、洞窟と人の関わり、さらにはケイビングというスポーツに関する疑問までの全30問に対して、日本洞窟学会の研究者が分かりやすく解説してくれる本です。
洞窟は、大地(岩石や土壌など)に形成された地下空洞のうち、人が入ることの出来る大きさを持つものを言うそうで、まだ確立した定義はないそうです。自然に出来たものだけを指すのかと思っていましたが、人工的なものも含まれるようなので、地下道なども一種の「洞窟」なのかもしれませんね(笑)。考えてみれば、大昔の人間は洞窟を住居として活用してきたことが多いので、どこまでが「自然の」洞窟だと明確に区別できないような気がします。もっとも、この本はほぼ「自然洞窟」に関する記事ばかりですが……。
さて、洞窟は、その形成作用によって、主に「溶食洞窟」、「浸食洞窟」、「火山洞窟」、「その他の洞窟」に分けられるそうです。溶食洞窟には秋吉台などの石灰岩洞窟があり、一般的に有名な観光洞窟にはこれが多いと思いますが、それ以外に、主に雨や風、波、地下水などの物理的な浸食作用によって形成される浸食洞窟、溶岩の流れによって出来る火山洞窟など、さまざまな種類があるようです。
この本の冒頭には、8ページのカラー写真ページがあり、美しい洞窟写真や、洞窟に生息する生き物の写真などを見ることができるのですが、その中に火山洞窟の「富士山麓の溶岩トンネル」の写真があり、本当に管みたいな空間があることに驚きました。熱い溶岩がこの中を流れていったんですね……。カラーのページ数は少ないですが、このような洞窟にはなかなか行けないので、これらの写真はとても見応えがありました。
また本文の方も、さまざまな種類の質問があるので、洞窟に関する総合的な知識を得ることが出来て、とても参考になりました。なかでも個人的にすごく興味深かったのは、「Question21 微生物は洞窟でどのような働きをしますか?」の次の記述。
「メキシコの洞窟で、およそ5万年も休眠状態にあった微生物が巨大な結晶の中から発見されました。この微生物は極限環境微生物と称され、50℃前後で強酸性という生命にとって過酷な環境の洞窟内で、結晶に守られながら長い間その生命を維持し続けてきました。地球上のどの生物とも遺伝学的に異なる性質を持つため、新種であると考えられています。」
……巨大な結晶の中で生き延びてきた微生物……ちょっと怖い気もしますが、なんだかSFのネタになりそうですね!
洞窟に関する30の疑問へのQAの他にも、「洞窟に入るために必要なマナー」や「日本の代表的な観光洞窟」の紹介記事もあるので、この本を読んで「洞窟に行きたい!」という気持ちになった方にとっては、観光ガイドとしても活用できると思います。
最後に、アメリカ洞窟学会(NSS)による洞窟に入るためのマナーを紹介させていただきます。
「足跡以外は残すな」
「写真以外は取るな」
「思い出以外は描くな」