『いまから、君が社長をしなさい。 ~経営思考を身につけるインバスケット・トレーニング~』2012/4/20
鳥原 隆志 (著)

いきなり社長の仕事を任せられるという状況で、経営思考を身につけるインバスケット・トレーニングをする本です。
今回の主人公は、リストラにあって求職中の西沢雄二45歳。求職のためにハローワークに来て見つけたのが、なんと「社長・年収1500万・年齢資格不問」という求人(笑)。それも西沢が子どもの頃に食べたこともある「元祖りんご飴」を製造販売している会社の社長職です。戸惑いながらも面接のために会社に行くと、他にも「社長募集の求人」を見た三人がいました。ところが社長は雲隠れ状態で、妙な顧問コンサルタントから「社長不在の期間中にたまった案件を処理してくれないか」と社長指示があったと告げられ、四人は急に、20の会社案件の処理を迫られることになるのです(笑)。面接に来ただけのはずなのに、いきなり社長業代行……ブラック企業間違いなしのようですね(苦笑)。
最初に見せられる資料は、「株式会社りんご飴」の概要、経営方針、組織図、貸借対照表や損益計算書などなど。そして「案件1 社長がルールを破っているじゃないか!」、「案件2 業績は順調そのものです」など20の案件がメールや手紙で示されます。
売り上げ状況などを示した「案件2」のメールを見ると、経営はなかなか順調そうに見えましたが、「案件10 アイデアが仕事につながりません」、「案件11 退職者が増えています。じつは私も……」、「案件15 従業員に給料を待ってもらいましょう」を見ると、サービス残業の疑いや、従業員とのコミュニケーションの悪さが浮かび上がってきます。しかも売り上げが落ちているのに、「案件3 方針ができました! いかがでしょう?」では見当違いとしか思えない「社内グローバル化推進」をうたっていて、「案件4 外食市場に参入しましょう」では、何故か本業とあまり関係がない「高級焼き肉店」で外食産業に参入しようとしています。
うーん……大丈夫なのか、この会社。そう言えば、従業員が508名もいるのに、ハローワークに「社長の求人」を出すような会社だったなー、と不安を抱きながら20の案件に取り組みました。
案件は、四人の社長希望者がそれぞれ自分の案を提示して、それにコンサルタントの野村が意見を言うという形で処理(トレーニング)が進んでいきます。主人公は一応、西沢なのですが、読者としては、四人の中でどの人の意見と近いかを考えながら案件処理(トレーニング)していくのです。四択なので、考えをまとめやすいと思います。
案件処理を進めていくうちに、会社の良い面や悪い面が次第に明らかになっていき、どう立て直していけばいいか方向性が見えてきて、本当に実践的な「経営者のトレーニング」が出来たような気がします。ドラマ仕立てになっていて、最後はちょっぴり泣ける展開が待っています(意外な結末になるので、読み物としてもけっこう楽しめました)。頑張れ、「株式会社りんご飴」!
「経営理論」の本は数多くありますが、このような形で、「経営の模擬体験」が出来る本はあまりないと思います。このトレーニングはかなり実践的に役に立つと思いますので、経営者や管理職を目指す方は、ぜひ読んでみてください☆