『年代で見る 日本の地質と地形: 日本列島5億年の生い立ちや特徴がわかる』2017/1/10
高木 秀雄 (著)

美しい風景や特徴的な地形の写真とともに、日本列島の成り立ちを詳しく解説してくれる、とても素晴らしい日本列島の地史の図鑑です☆
日本列島は、大陸の縁辺部で、いくつかのプレートがぶつかる境界にあるため、世界でも有数の地形・地質が見られる場所なのだそうです。この本は、その多様な地形・地質の成り立ちを、日本列島の5億年にわたる生い立ちに沿って、地質年代順に詳しく解説してくれるのです。
しかも、なんとフルカラーで見事な写真が満載☆ フィールドで撮影した景観や特徴的な地形、地質の露頭写真が多く掲載されるだけでなく、年代を特定できる化石や岩石標本などの写真もいっぱい☆ 眺めているだけで心が躍ってきます。
この本は、NHKの旅番組「ブラタモリ」が好きな人には、涙もののお宝本になること間違いなし(笑)。「日本には、こんなに凄い景観があったんだー」と圧倒されるような見事な写真ばかり。学生時代から「地学」が好きで、化石や鉱石にも興味があったわりに、あまり真面目に勉強してこなかった(汗)私にとっては、写真だけでなく、解説もすごく勉強になりました。
まず「序章 年代スケールと日本列島の地質の特徴」では、日本列島の成り立ちや、地質と地形の多様性が、イラストで分かりやすく詳しく解説してもらえます。「日本列島の地体構造」というイラストは、日本列島の地質と地形が、いかに多様で複雑な成り立ちをしているかを明確に示していると思いました。
そして「第1章 日本列島の成り立ち―大陸の縁辺部であった頃」、「第2章 日本列島の成り立ち―日本海が拡大し列島となった頃」、「第3章 第四紀―活動的な日本列島の地質現象と地形の形成」では、日本列島5億年の生い立ちを、地質年代の順に沿って解説してくれます。解説は、日本各地のジオパークの写真など、特徴的な地形、地質の露頭写真がふんだんに使われているので、実際の状況を自分の目で確認できて、すごく興味深かったです。実際に、私自身も行ったことのあるジオパークの写真もありましたが、自分の目で見たときよりも分かりやすい(汗)……その地質などの特徴をよく捉えた写真が使われているだけでなく、分かりやすい解説も添えられているので、内容を理解しやすいのだと思います。
一例をあげると、「第1章 日本列島の成り立ち」の「1 大陸の断片」では、日本最古の鉱物として立山黒部ジオパークの宇奈月花崗岩(約38億年)の写真が掲載されていました。……ん? 38億年? 序章では「日本列島の最古の地層や岩石は、ほぼ5億年前に遡る」って書いてあったのに? と疑問に感じましたが、実は日本には5億年前より古いものもあるそうで、それは「他の場所で出来たものが運搬されて、岩石の中に取り込まれた砂粒や礫の年代が示している」のだそうです。なるほど、そうだったんですか!……というような興味深い話が満載☆

圧倒されるような素晴らしい写真&解説に、いちいち「うわー」と興奮しながら読んだのですが、残念ながら地磁気の逆転で有名な千葉の地層とその年代「チバニアン」のことはあまり掲載されていなかったような……「地磁気の逆転」については、それを世界で初めて見出した松山さんの地磁気逆転発見のきっかけになった火山岩資料が発見された場所として、山陰海岸ジオパーク(兵庫県豊岡市玄武洞公園)の写真と解説が掲載されていただけでした。まあ、2018年3月現在でも、まだ「チバニアン」と命名されるかどうか決まっていないので、しょうがないのだと思いますが、今後の改訂版を待ちたいと思います。
さて日本各地には数多くのジオパークがあり、この本にも日本地図とともに一覧表示されています。が、日本の地形の成り立ちの複雑さ・素晴らしさからいっても「まだまだ、こんなもんじゃないでしょ」という印象を強く感じるので、今後、ジオパークの数は、ますます増えていくのではないかと思います。もしも改訂版を出す時には、その最新動向にも期待したいと思います。(というか、この本は、本当に定期的に改訂版を出して欲しいほど素晴らしい図鑑です☆)
日本列島の美しい風景、珍しい風景を眺めて楽しむだけでなく、日本列島の地質や地形に関する勉強にもなる美味しい本です。2200円+税と少し価格は高めですが(汗)、それだけの価値は十分あると思います。だんぜんお勧めします☆