『地球を突き動かす超巨大火山 新しい「地球学」入門 (ブルーバックス)』2015/7/17
佐野 貴司 (著)

超巨大火山の研究を通して、大陸移動やプレートテクニトニクスなど、マグマ&マントルと地球内部とのふしぎな関係を解説してくれる本です。かなり専門的な地球科学の本ですが、イラストを活用して直感的に分かりやすく解説してくれるので、とても興味深く読めました。
2009年、日本から約1500キロメートル東の太平洋の深海底で、高さ30キロメートル、面積は日本の国土に匹敵するほどの超巨大火山が見つかりました。1億年以上前には、こうした超巨大火山があちらこちらで活発に噴火活動をして、大地を引き裂きながら、広大な大地を形成し、いまの地球をつくりあげてきたと考えられています(!)。
この「超巨大火山」というのは、火山地域(大規模火成区(LIP: Large Igneous Province))の中でも、とりわけ大きい「巨大海台」と「大陸洪水玄武岩」のことを言います。「巨大海台」はマグマが大洋底へ噴出したもので、「大陸洪水玄武岩」は大陸上へ噴出したものです。
佐野さんはそのうち、「巨大海台」としては、太平洋のシャツキー海台と赤道直下のオントンジャワ海台の調査に、「大陸洪水玄武岩」としては、インドのデカン・トラップの調査に実際に関わり、その掘削と音波による調査などで分かったことを具体例として詳しく紹介してくれています。調査に使用した船や掘削ドリル、調査地域風景などが写真で紹介されていて、興味をかりたてられます。
LIPは、活発だった白亜紀に、地球温暖化の原因になったと考えられています。この時の赤道付近の表層水温は現在より5℃も高く、その他の地域ではさらに高かったとか! しかも北極と南極の氷のほとんどは溶けてしまい、海水準は現在よりも50~150mも高かったと推定されているそうです。
LIPは地球上のいたるところに分布しており、過去の噴出物の科学的な組成などを調べることで様々なことがわかるようです。じつはLIPこそが、地球の全マントルを循環させ、大陸移動やプレートテクトニクスの原動力を生み出し、地球の大陸を突き動かしてきた張本人なのかもしれないそうです。
この大陸移動説は、古地磁気学研究のもととなる地磁気の縞模様(地球には磁場の反転する時期があった証拠とされている)とも矛盾しないようです。
とはいっても、LIP研究はまだ調査がすごく進んでいるわけではなく、これらの学説にも反論がある状態にあるようですが……。
定説にはいたっていないのかもしれませんが、LIPが地球のマグマ&マントルと深くかかわっていることは事実で、大陸移動の原動力になったという話には説得力を感じます。
ところで最近は手のひらのスマホが、身近な疑問になんでも答えてくれるので、偉大な科学力にすっかり甘えていました(汗)が、まだまだ地球には、巨大な謎がいっぱいあるのですね☆
学生時代に初めて大陸移動説を知った時には、アフリカと南アメリカ大陸はつながっていたの?と、すごく驚きましたが、現在でも、大西洋中央海嶺で二つの海洋プレートが引き離される速度は1年に片側2㎝、東太平洋中央海嶺では1年に10㎝の速度だそうです。地球(大陸)は動いているんですね……。
地球科学についての新しい知識を学ぶとともに、LIPが活発だった頃や大陸が一つだったころの気候はどうだったんだろうとか、地磁気が逆転していた頃の生物はどうしていたのかとか、地磁気逆転は一気に起こったのか(磁気のない時期があったのか)とか、様々な疑問がわいてきて、スケールの違う驚きに、しばしの間、浮世を忘れるような気分にさせてくれる本でした。