『世界は変形菌でいっぱいだ』2017/11/17
増井真那 (著)

変形菌(粘菌)と暮らす16歳の少年が、10年間で見たこと・ 体験したこと・知ったこと・考えたことを綴った本です。
幼い頃から生物に興味があったという増井さんは、16歳ながらも、この研究で内閣総理大臣賞ほか数々の栄冠に輝いています。だからこの本は、「変形菌(粘菌)」に関する情報も豊富で、その特徴・飼育方法・研究方法などがすごく具体的に紹介されているので、変形菌(粘菌)の入門書として読むことも出来ると思います。
さて変形菌というのは、15センチ程度のものもいるほどの超巨大な単細胞生物です。ゆっくり動くだけでなく、一生のうちでどんどん姿を変える生き物で、4つの形(変形体→子実体変身→子実体→粘菌アメーバ)をめぐっていく生き物なのだとか(なお、これら4つの他、休眠状態の(菌核)というもう1つの形もあります)。
しかも変形菌には「固有種」はないと言われるほど、世界中に散らばっているものなのだそうです。でもあまり目立たないので、なかなか見つけることは出来ないのだとか。この本の中でも、変形菌が見つかった木の写真が三枚紹介されているのですが、「かがんで見る」「座って見る」程度の近さの写真では、全然見つけられませんでした。最後の「超接近して見る」ことで、ようやく見つけられるようです。
ところが私、どうやら「変形菌」を見たことがあったことを思い出しました。ずっと前に、庭で大きなシメジみたいなキノコを見つけたことがあり、「美味しそう」とは思ったのですが、食用になるキノコと毒キノコの見分け方が超難しいことを知っていたので、危ないかもしれないと思って、そのまま放置していました。するとある日突然、そのキノコが毒々しい黄色に爛れているのを見つけてしまったのです。一度は「美味しそう」に見えていただけに、すごくショックでした。そしてこんな毒キノコが庭じゅうに胞子を散らしてしまっては大変だと思って、ビニール袋に入れて可燃ごみに出してしまったのです。でもこの本の中で、「黄色い変形菌がキノコに襲いかかって食べている写真」を見て、ああ、あのキノコは「黄色い変形菌」に襲われていたんだと、ようやく知ることが出来ました。もっとも、変形菌も子実体を出して散らばるものらしいので、ビニール袋に入れて処分したのは良かったような気がしますが……(汗)。
あの時は「すごく気持ち悪い」だけだった「黄色いキノコ(実は変形菌)」ですが、この本でじっくり見ると、毛細血管や、微細なシダ植物みたいで、なんか綺麗かも、と思ってしまいました(単純)。でも……やっぱり一緒に暮らそうとまでは思いませんが……(苦笑)。
「変形菌」も生き物なので、食べたり排泄したりもするそうです。オートミールやキッチンペーパーを使った飼育の方法が具体的に書かれていて、とても興味深かったです。旅行でも1泊ぐらいだったら、なんとかお留守番をしてもらえるのだとか……犬や猫よりは楽そうですが、やっぱり「生き物」と暮らすのは大変そうです。
この本は、生物研究に熱中する16歳の少年の生き方が、すごくリアルに紹介されているので、特に青少年の方に読んで欲しいと思います。こんな生き方も、すごく素敵ですね☆ 「変形菌」は人体に無害とはいえ、家じゅうに「菌」をばらまきそうな気がするので、それを承知の上で彼を支援し続けている両親にも、とても感心させられました。
きっと素晴らしい生物学者に育つと思われる(すでに凄い生物学者だとも言えますが)増井さんには、今後も頑張って欲しいと思います。
そして研究者になりたいと思っている青少年(小学生~高校生)のみなさん、増井さんの生き方はすごく参考になると思うので、ぜひ読んでみてください☆