『和書:くるみ割り人形: 切り絵とびだししかけえほん』2017/10/21
ショーブナ パテル (著), Shobhna Patel (原著)

『洋書:The Nutcracker: A Papercut Pop-Up Book(英語)』2017/11/14
Shobhna Patel (著)

くるみ割り人形の、切り絵のしかけ絵本です。
雪の降るクリスマスイブ、時計が真夜中をつげると、クララとくるみ割り人形の魔法の旅が始まります。ネズミが兵隊になり、キャンディーのステッキが踊りだし、霧の中から魔法のお城が現れる……チャイコフスキーの有名なバレエ「くるみ割り人形」の世界を、繊細な切り絵で表現したしかけ絵本。夢のような場面が、みごとな切り絵と挿絵によって、生きいきと浮かびあがります。
美しくて繊細な「大人っぽい」しかけ絵本。落ち着いた色合いで、細かく描かれたイラストが散りばめられているのも素敵で、「くるみ割り人形」物語もかなり詳しく書かれている充実した内容です。
しかけ絵本にしては、すごく薄くて、普通の絵本ぐらいの厚みしかありません。そして、ページをぱらぱらめくっただけでは、「切り絵の大きなしかけに気づかない」不思議な絵本でもあります(笑)。
実は私自身も、最初にこの絵本を書店で見かけた時には、ぱらぱらめくって、「なんか、つまらないしかけ絵本」と思って、いったん本を置きかけたぐらいです(汗)。でも、せっかくの「切り絵しかけ絵本」なのに、こんな「しかけ」でいいのかなー?と疑問に感じて、もう一度、切り絵部分をじっくり眺めてみたら……なんと、「えーっ、こんなところに、くるみ割り人形が!」と驚きが!
ページに挟み込まれている「切り絵」部分。袋とじになっているのですが、そのページの頭(端)を少し押し込んで、中を覗き込んでみたら……そこに「いた!」のです。
ああ、こうなってたんだ!
驚きと感動を覚えましたが……このしかけ、果たして成功しているんだろうか?という疑問も(笑)。『くるみ割り人形: 切り絵とびだししかけえほん』というタイトルなのに、ページを開いただけでは、「くるみわり人形」は飛び出さないし……。でも……これまで見たこともない「しかけ技法」だったので、即、購入を決めました(笑)。
すごく気が付きにくい「しかけ技法」が使われている「不思議で素敵な切り絵しかけ絵本」です。飛ぶ出すしかけは読者が自分で「見つける」ので、見つけた時の驚きがより強くなります。くるみ割り人形の「不思議な魔法の世界」っぽくて、なかなか素敵だと思います。
この絵本は、細長い不思議な形をしていますが、しかけ絵本にしては薄く、軽くて場所もあまりとらないので、贈り物にしても喜ばれると思います。でも贈り物にする時には、ぜひ「切り絵のどこかに「くるみ割り」とか「お城」とかが隠れているよ。見つけてね」と一言添えてください。そうでないと、「ちょっと残念な絵本」として簡単に片づけられてしまう危険性があります(笑)。
成功しているのかどうか分からない不思議な「魔法のしかけ」が秘められた絵本です。しかけ絵本の技法に興味がある方は、ぜひ手に取って見てください☆

・1~2ページ目:くるみ割り人形の物語(イラスト付、しかけなし)
・3~4ページ目:「くるみ割り人形」の切り絵しかけ
・5~8ページ目:くるみ割り人形の物語(イラスト付、しかけなし)
・9~10ページ目:「くるみ割り人形と、ねずみの王様の戦い」の切り絵しかけ
・11~14ページ目:くるみ割り人形の物語(イラスト付、しかけなし)
・15~16ページ目:「お菓子の国のお城」の切り絵しかけ
・17~20ページ目:くるみ割り人形の物語(イラスト付、しかけなし)
・21~22ページ目:「くるみ割り人形を抱くクララ」の切り絵しかけ
・23~24ページ目:くるみ割り人形の物語(イラスト付、しかけなし)